劇ナビFUKUOKA(福岡)

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劇ナビインタビュー No2 博多座 演劇本部長 佐藤 慎二さん その3

750万人のお客様が来場―潜在的な九州の文化

 2014-04-09 佐藤2 (2).jpg

水上 福岡でこの分野で活躍する人が増えてきてほしいですね。さて、ちょっと違う角度から伺います。年間50万人のお客さんを集めています。とてつもない数字です。どうやってやってこられたんですか。

 

佐藤 博多座だけじゃなく、福岡には演劇文化を振興するいろんな組織・団体がある。行政では文化振興財団、民間では西鉄ホール、イムズホール、エルガーラホール、キャナルシティ劇場、さらに市民劇場のような団体まで。北九州では北九州芸術劇場とか音楽ではアクロス福岡とか、いろんなところが頑張って、こういう文化を作ったんだと思います。

もともと九州にあったんでしょうけど、無くなってしまっていた。その間は、演劇ファンの人たちは東京まで観に行ってたわけですね。それが、博多座が出来て、観てみたら「面白いな」となったと思います。

 

佐藤 もうひとつは、劇場を大事にしていこうという周りの人の力だと思います。

博多座がなくなると、九州の文化がひとつ減る。と思っていただいている。

九州から東京に情報発信したいという、九州人の考えだったり、アジアの窓口で情報発信したいという福岡の思いだったりするところが潜在的にあって、お客さんが来てる、

博多座の力だけではないと思います。

賛否はあると思いますよ。それをどうにかするのが仕事ですから、今までないことをやっていく。

 

佐藤 八百屋だと野菜を買う前に見て買ってもらいますが、僕らは、観たことがない作品でお金をいただき、日にちも座席も指定され、というような特殊なサービス業です。そういう商売をしているんですから、お客さんが来てくれるもの、観たことがなくても買いたくなるくらいのものを創らないといけない。しかも、一回観ると目が肥えてきますしね。

 

サービス日本一の劇場に

 

佐藤 病院が体を治すように、劇場は心をいやしたり、元気づけたりする。劇場がそういう所であり続ける限り、劇場の大きさは別にして存在意義はあります。それがある間は、やれることはやって後ろにバトンタッチできるようにできたらな、と思っています。

劇場経営も今日明日のことじゃなくて、3年後や5年後、僕らの時代からもっと遠くの時代が見えるような、そういう劇場をつくっていきたい。そういうところに視点を置いて、スタッフの背中を押し上げていきたい。

 

佐藤 お年寄りは日本の宝だと思いますね。その人たちが戦後の復興をやらなかったら、こんな日本はできていない。みなさんが頑張ったおかげで今がある。博多座では、ほかの劇場ではできないサービスをやります。博多座が博多座である限りやる。

たとえば、車いすのケアや体調の悪くなった人のケアは、よその劇場より、お客様に対して場内の案内の人数が多い。施設にしても、トイレ一つとってもそうです。優先順位はお客様が一番ですし、そのことだけは崩してはいけない。そのためにもスタッフは大切にしないといけない。

場内のスタッフは日本一だと思います。芝居を作るほうはまだ日本一ではないですけど。

だからみなさん安心してきてくれると思います。年取ってたって、車いすで来たり、杖ついて来たりできる。それでも安心して来られる劇場、っていうのが、箱としてというより、人と人とのつながりの大切さを感じます。お客さまからお礼状を頂きますが、それを読んで感じます。

 

水上 スタッフの人たちが劇場の顔ですからね。

 

佐藤 ミスターか、ミスか、ミセスか、わかりませんがそれぞれが「博多座」です。現場で接客する人たちとか、役者と一緒に芝居を作る制作とか、宣伝を作るディレクターとか。現場が汗かいて今があると思います。現場が一番大切です。

 

(続く。次回は6月23日公開の予定です)

2014.06.16

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