劇団スカラベ旗揚げ公演「私のこの目で」@新宿シアターBRATS


いまさらですが・・・4/9~11におこなわれた

See What I Wanna See
私のこの目で

を・・・(笑)全6公演全て拝見させて頂きました(痛) coldsweats01


+++


演出:黒澤世莉(時間堂)
脚本・作詞・作曲:Micheael John LaChiusa
原作:芥川龍之介「藪の中」「袈裟と盛遠」「竜」
翻訳:山田宗一郎(劇団スカラベ)



***作品はオムニバス形式でありながらもどこかに
 つながりがある複雑なニュアンスをもっていました***


+一幕+

「袈裟と盛遠 袈裟」

袈裟は夫がいるのにもかかわらず別の男(盛遠)を待っている。
盛遠が到着し、二人は愛し合う。
しかし袈裟は観客だけに“盛遠を殺す”と打ちあけ
担当を取り出し盛遠に振り上げる。
盛遠の腕が袈裟の首へ伸びる・・・。

袈裟:武井翔子 盛遠:梶雅人

・・・・・・・・・

暗くなった空間に武井さんの袈裟が現れ
突然歌いだします。
初日はまず「何をいっているのだろう?」から始まりました。
フライヤーと一緒に座席においてある
パンフをよめば話はわかるのですが
それを目で見て理解するには私の脳は堅かったようで・・・ sad

これが二幕の冒頭につながっているのですが・・・
ただこの音楽がどことなく不思議で
とってもオフBWっぽくて。
引き込まれやすいのです。すーっと物語に・・・
そしてその短刀を振り上げ、手が首へと伸びたとき暗転し
舞台は次へと移ります。。。


何ともいえない空間。
不思議なモヤっとした感じ。
徐々に言葉が聞き取れるようになり
6回目でした・・・ 「ぞくっ」っとしたのです。
息を呑むぐらいにゾクっと。。


“真実を知っているのは 観客だけ
 真実を見なさい・・・ 見てください・・・ 知ってください・・・”

そういわれてる気すらしました・・・。




「R SHOMON」
1951年のNY。映画館の用務員がセントラルパークで起きた
殺人事件の取調べを受けている。用務員は仕事帰りに死体を目にしたが
事件にはかかわっていないと供述する。

泥棒は殺人事件の犯人は自分だと供述する。
泥棒は、赤いドレスの人妻が自分をいたずらに誘惑してきたため
その仕返しにその女と夫を夜のセントラルパークに連れ出し
妻を手篭めにしたと語る。そして妻が泥棒に
「夫と決闘しろ」とけしかけたため、妻の持っていた短刀で
泥棒は夫を殺したと話す。

妻の取調べ。妻は、夫を刺したのは自分だと主張する。
姦通を夫に責められ、それでも夫婦の契りを果たすため
ともに死ぬつもりで夫を刺し殺したと訴える。

続いて霊媒師が現れ、夫の魂も供述を始める。
情事を経て、泥棒に心を傾けた妻は、泥棒に「夫を殺して」と
けしかけた。泥棒の変心で夫は殺されずに済むが、妻にも逃げられる。
一人の押された夫は自殺を決め、自分に短刀を刺す。
腹に刺さった短刀が誰かに抜かれ、そこからの出血で夫は絶命した。

再び用務員。彼は、続行される取調べに憔悴しながら
果たして誰が夫を殺したのか、事件の真相はどうだったのか
考えをめぐらせる・・・。




用務員:上野聖太 夫:梶雅人 泥棒:山田宗一郎
妻:千行 星  霊媒師:武井翔子


・・・・・・・・・

これが1番難しく頭を悩ませました。
まず1度目・・・ なぜ梶さん演じる夫は何度も殺されているのか。
それが2度目には回想シーンだと理解しました。
3度目・・・ みんな自分が犯人だと思い込んでいて
結局誰が犯人なのかわからない。。。 ということまで理解できました
4回目、事件の真相を握るのはほかでもない用務員?と・・・
5回目、違う。これは犯人がわからないままでいいのだと気づきました。

泥棒を演じた山田さんはそのチャラいかんじ。
セクシャルな面が出ていて、狂気に満ちた感じが素晴らしかった。
2日目から、夫と妻を追ってクラブで夫にけしかけるときの
お酒の注文の仕方が俄然よくなっていて驚きました。

妻の千行さん。美しいドレスがお似合いで
パワフルな歌声に魅了・・・。
自分側の回想と、人の回想での自分の「妻」の
ポジションがしっかりと明確で
わかりやすいなーと感じた方です。

用務員の聖太さん。
私はやっぱり彼の演技が好きです。贔屓目なのかもしれないけれど

何かを伝えようとするその“伝える”ことも本当に素晴らしいし

この作品で彼が“普通の人間”・・・所謂、働いて残業して上司に怒られて

ふらふらになりながら帰って・・・

偶然にそこで殺人に巻き込まれて。取調べの中で
気力をなくしてしまった・・・。

そして自分が殺したのではないかとすら
思ってしまうという・・・。

結果全員が全員、自分が「夫:梶さん」を殺したと思っている

彼は彼でまた自分でナイフを刺し、誰かに抜かれたと。

そのモヤっとした感じ、じゃぁ犯人は誰?

何が本当なの? そう思って渦を巻きながら一幕は幕を閉じます。

 

そのもやもや感がいいのだ!と気づけたのは

3日目・・・5回目マチネの後でした。難しいなりに色々と思うところのある作品でした。


+二幕+

「袈裟と盛遠 盛遠」

盛遠が 袈裟の屋敷へ向かっている。到着した盛遠は、
袈裟を絞め殺そうとする。そのとき袈裟は短剣を振り上げ、結末は・・・

袈裟:武井翔子 盛遠:梶雅人

・・・・・・・・・

一幕からの続きなので、また不思議な世界感です。

これがリンクしていると気づいたときには

お互いがお互いを殺そうとしている事実・・・

何を思っているのか、何を物語っているのか。

真実は彼らにしかわからないのです。

だけれども、彼らが見せたその姿は観客だけの目に焼きつき

離れない・・・不思議なものではないでしょうか。

 


「救いの日」
場面は現代のNY。牧師は「あの悲劇」以来、信仰への自信を失ってしまっている。

無神論者だった叔母を思い出し、神は虚構に過ぎなかったと怒りにかられた牧師は

「三週間後、セントラルパークの泉の横で奇跡が起こる」というデマを流してやろうと思いつき

公園中に言いふらす。

群集は牧師の予想をはるかに上回るスピードで膨らんでゆく。

ホームレスに元会計士や失職中の元女優

テレビのレポーターら様々な人たちが騙され、公園に集まり、

群集はだんだんと危険なほどの熱を帯びてゆく。

それを尻目に、牧師の心は冷たく凍り付いてゆく。

宣伝した奇跡の時間が目前に迫ったそのとき・・・・

 


牧師:上野聖太 元会計士:梶雅人 レポーター:山田宗一郎
叔母:千行 星  元女優:武井翔子


・・・・・・・・・

この作品は牧師さんが完全メインのほぼ主人公。

最初、救いを求める人々に「やめてくれー」とパニックの彼がなったとき

鳥肌がたちました。

なんとなーく、1幕と通じる部分があり

“セントラルパーク!”のメロディとか♪

彼がついた嘘はやがて、人々の手によって本当となり

そして広がっていく・・・これはよくある出来事。

セントラルパークで彼が出会う人々。

元会計士、かれは見るからにヒドイ格好、今は自由を謳歌中。

元女優。であってしまって、彼は「男」になりました。

彼女が網手袋をしているのですが、それが牧師のロザリオにひっかかる。

そこでの「からまっちゃったね」というアドリブや

ムシが牧師さんの周囲を飛んでいるとき

「セントラルパークはムシがおおいですね」なんてサラっと流して

虫を払ったり。。。そこに生きているのは「上野聖太さん」ではなくて

「牧師 マイケル」でした。

だから私は彼の演技に魅了され続けているのでしょう。。

レポーターの山田さん。1幕とは変わってマジメな役。

夢を抱いていた、だけどあの「悲劇」で彼はどうしようもなかった・・・

あの日「僕はあなたを見ました」と彼は牧師にいいます。

現場担当だった僕は逃げ出したけどあなたは人々のためにそこへ向かってたと・・・。

この「悲劇」って、あくまで「何」かは断定されていないので

想像の範疇でしかありませんが、きっときっと・・・あの悲劇なのだろうと。

NY中がパニックになった、あの事件。

その光景が二人の会話から手に取るように見えるのも不思議でした。

私もニュースで見ただけ。彼らだってそこにいたわけじゃないのに

そこにいるレポーターと牧師はソレを体験しているわけだから

そういう風になぜか思えてくるんです。不思議と・・・

それが役者。 演じるのではなく 生きている ということなのだろうなと・・・

 

おばさんの千行さんは1幕の美人っぷりからかけはなれているのに

やっぱり素晴らしくて。1つ1つの台詞にこもった暖かさは

じわーっと心に広がります。 おまえがそういうならそうなんだろうね。

そう牧師にかけた言葉に「私のこの目で」の意味があるような気がしました。

 

1番の盛り上がり「全部終わりだ」というキセキが起きるとされる直前に

歌う歌・・・。1番ミュージカルらしくて、さらにみんなが信じているから?

キラキラしていて涙がウルウル。。

 

そして、やはりキセキはおこらないのです。

でも牧師の目にだけは見えたんです。キセキが・・・

みんなやめてくれ。全部嘘なんだ」そう叫ぶ彼の声もむなしく

みんなは噴水に集います。

そしてキセキはおきなかったと落胆し、怒りをあらわにしその場を去ります。

でも牧師にだけは「キセキ」がみえたんです。

初日から彼が演じるとその彼が見つめる客席の1番奥に

本当にセントラルパークの噴水があって

そこで何かキセキがおきているように感じます。

そこに噴水が見えている気がするんです。

彼の瞳の中にはしっかり噴水がうつっているような・・・

5回目だったでしょうか・・・

私はキセキを体験しました。不思議な感覚・・・

嵐になった(雨がふった)=みんなずぶ濡れしかも何もおこらない

というのは一般的な形です。

でも、でも・・・

その日。その公演。キセキが起きたんです。

自分も雨に打たれた気がして、自分もキセキを感じた気がして。

彼がそこに生きていて。その劇場はまるでセントラルパークで。

彼の目にうつるものが全て伝わってきて真実が力強く力強く・・・

 

生きてる」牧師は生きている。

そうかんじました

そして キセキは起きた・・・

そう思いました・・・

 

彼もまたその後人生に悩み続けます

でも信じることができて

目にすることができたかれはきっと強いはずです。

そしてこの役は暖かい人柄の聖太さんだから出来るのだろうなと・・・

全てに感動しました。

 

千秋楽はWカテコ!

最後に「全部終わりだ」と歌ってくださいました♪大好きな歌・・・

嬉しかったー。。

そして劇団スカラベ様。

制作さんはじめスタッフさんがとても親切でした。

マチソワの千秋楽日。ホテルから荷物をかかえていった私・・・

劇場は階段でおりる地下。

キャリーをマチネからそのままずっとソワレ終わりまで預ってくださったり

本当にありがとうございましたと主宰の山田さんもおっしゃってくださり

小劇場だからこそのオフBWもの

福岡の小劇場はまだまだストプレ、オリジナルが頑張っていますよね。

でも小さい箱で出来るオフBWものって

なんだか福岡でも頑張れば見れないかなとすら思いました。

芥川原作。

どうだろう?と臨んだ舞台。。。

モヤモヤが晴れた最後の最後。

幸せになれました。

素敵な舞台をありがとう!心から叫びたくなりました。

2010年4月11日 23:48  カテゴリー: ミュージカル 東京 | コメント(2) |

コメント

コメント(2)

詳細なレポ、ありがとうございます。
かなり頭を使う作品のように感じますが
これは自分の目で見てみたかったな、と思わされました。


生の舞台って本当に面白いですよね。
何度見ても、一度として同じものが見えることはない。
そして、ちょっとしたきっかけで、霧が晴れたように「!」と
それまで見えなかったものに気付いたり
ばらばらに見ていたものが頭の中でつながることがある。
劇中では語られない、その役…その人の背景が手に取るように見えてくることもある。
そうすると、目に見えるものがもっと深みを増す。
リピートならではの面白さのように思います。


「自分も舞台の一部になって生きていた」
そう思えるような舞台に出会えた時は
私もその場にいられたこと、見ることができたことを
とても幸せだと思います。これだから止められないんですよね(笑)

>零様
こちらこそ、感想をありがとうございます。
1幕はかなり頭を使いました・・・
二幕は楽しみつつも霧が晴れたときの喜びが大きく
本当に自分がNYのセントラルパークにいる気になれた
奇跡的な瞬間に立ち会えたときに
リピーターの喜びと共に舞台を見る喜び体感する喜びを感じました。

福岡でもできればこのような作品に出会いたいものです。

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えったん@
生まれも育ちも博多っこ。
情熱とフットワークの軽さ
で自由に生き抜いてます★

福岡シティ劇場杮落し「オペラ座の怪人」
その世界,スケール
音楽・・すべてに衝撃をうけ
ミュージカルにハマりました。

今では、東京や大阪などなど・・
頻繁に飛んでいっています。

人との出会いも作品との出会い
全てが「一期一会」
良い役者さん、良い作品。
出会うことで自分も成長したい
そぉ日々感じています。

レポというよりは・・・
個人的感想と覚書です。
「こういう楽しみ方もある」
と思っていただければ・・・(笑)
舞台の魅力を知ってもらえたら
なんて思っていますm(u_u)m
特に同世代に!!

ミュージカル以外にも
ストレートプレイ・小劇場
興味があれば足を運んでいます。