万能グローブ ガラパゴスダイナモス10周年記念
リレー対談No2 九州を元気にする!
椎木樹人(万能グローブ ガラパゴスダイナモス 代表) 川口大樹(万能グローブ ガラパゴスダイナモス 脚本・演出) 筑前りょう太(NPO法人九州プロレス 理事長・プロレスラー)
進行:水上徹也(シアターネットプロジェクト 代表取締役)
水上:ガラパゴスダイナモス10周年記念劇ナビ対談第二弾。今回は九州プロレスの筑前良太さんにお越し頂きました。
一同:よろしくお願いします。
水上:九州プロレスについて教えてください。
筑前:九州プロレスは2008年に僕らが作ったプロレス団体です。僕らはプロレスを通して九州ば元気にするバイというのを目的に活動しています。僕らの信念は「九州ば元気にするバイ」ですからプロレスファンの方だけに元気を与える集団ではないんです。僕らの元気を求めとう人達は僕らの会場に来れない人達なんじゃないかっていう想いがあるので、老人ホームとか障がい者施設、児童養護施設、幼稚園、保育園にこちらから行っています。 水上:そういうところでプロレスをするんですか? 筑前:選手が行って、でかい身体とでかい声で「元気出せ!」って(笑)。施設に伺ったときは30分で1セットのお話と、練習をお見せして、身体をお見せしてですね。それで元気にするぞ、みたいな感じです。 椎木:レスラーはもう存在自体がエネルギーの固まりなんで、そういう人が来てくれるだけで元気になりますよね。 |
■出会い
水上:ガラパとの出会いは?
椎木:僕は、元々プロレスが大好きなので。新日本プロレスに出ていた頃から「筑前りょう太」っていう人物は知っていて、すごくいいレスラーがいるなぁと思っていたんです。そしたら、福岡に帰っきて福岡で団体作るっていうプロレスニュースが流れたんです。筑前りょう太が福岡に来るんや!って調べたら福岡出身。だから筑前なんだ(笑)福岡に帰って来て、プレ旗揚げ戦を僕と川口が住んでいる志免町でやって、かなり興奮しました(笑)九州プロレスのプロモーションをしている会社がガラパのプロモーションもして下さるようになってお会いしました。そこから5年前に結成5周年記念公演をやったときに筑前さんにゲストで来て頂いて終演後にトークをさせて頂きました。それが、最初に一緒にやらせていただいた出会いですね。
筑前:僕ら、九州プロレス作った時にどうしても最初の試合は志免町でやりたかったんですよ。どこでやろうかなぁと探していて、シーメイトや!と決めた。そしたらその責任者の方から、「うちの息子がくさ、演劇ばしよるっちゃけどさ、プロレスが好きっちゃんねー。」みたいな話をきくわけですよ(笑)実はその頃から僕も会いたいなーとは思っていたんです。 水上:筑前さんは5年前にガラパを初めて観たんですか。どうでしたか感想は? 筑前:いや、やっぱり全然違う世界をみせてもらったことが嬉しかったですね。表現する、何かを伝えるってことにおいてはプロレスも演劇も同じだと思うんで、すごくいい刺激をもらいましたね。 椎木:3年前くらいにグレコローマンスタイルっていう劇団が九州プロレスと一緒に作品を作るっていう斬新な企画があったんです。その時に主宰の山下さんから、「プロレスで芝居を作る、お前出ろ。」と言われて(笑)僕も即答で「出ます!」って(笑)。その中で僕は、筑前さんのチョップを一公演につき7~8発くらってみるみる胸板が紫色に変色していく(笑)でも、僕的にはめちゃくちゃ幸せでしたね。 一同:沈黙(笑) 椎木:憧れの場所のリングに上がること自体がもう幸せでした。僕がファンとしてみていたプロレスラーの筑前さんと肌を合わさせて頂く感動を感じましたね。 |
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■エンターテインメントとしてのプロレス
水上:川口君はどのタイミングで出会ったの?
川口:エンタメとして面白いなと思っていたので興味がありました。プロレスってショーとしてテレビで観てたんですけど、お客様を巻き込む姿勢が、ガラパと似ているなぁ、と思ってます。 椎木:K―DOJYO(KAIENTAI DOJYO)は千葉の団体で常設小屋があるんです。筑前さんはプロレスラーなんですけど、そこの商工会に入ったり、地域の人達を巻き込んでやっていたんです。自分も劇団やってますし、団体運営にもすごく興味を持ち始めていました。こういう団体がこういうことやってるよ、ていう話を川口さんにしていました。 川口:そこで興味を持って筑前さんと実際にお会いして、目指すところが似てるんだろうなと思いました。 水上:具体的に共通するところがあるのかな?演劇は舞台と観客が離れてるけど、リングは真ん中にあって観客との距離感が少し違う気がします。観客の応援なり興奮なりというのは試合に関係しますか? 筑前:大いにありますね。僕らは絶対観に来てくれた人に対してエネルギーを伝えて帰ってもらうっていう想いでリングにあがるので。その辺の想いは演劇と近いものはあると思いますね。 椎木:慰問に行かれてるという話がありましたけど、九州プロレスってすごいなって思うのは、九州はプロレスが根付いていない、そんな中でも九プロは、プロレスを観たことがない人、それこそ子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、初めて観る人達に観せる、そういう人達を熱狂させる。これは僕らが目指している部分ととても近いなと思います。 筑前:それは嬉しいですね。そういう風に言ってもらえて(笑) |
■プロレスも演劇もフトコロが深い
椎木:演劇ファンだけでも僕らはダメだと思っていて、特に福岡でやるって決めたときに結構考えたので、九プロもそういう思いがあったんじゃないかな、と思います。
筑前:そうですね。やっぱり、日本のプロレスの始まりって力道山じゃないですか。あの時は日本中が小さいテレビの画面ににくぎ付けになって、そこからエネルギーをもらったわけじゃないですか。僕はプロレスにはそういう可能性があるっていうのを信じていますね。今こういう風にプロレスを小さくしてしまっていることに、僕はすごく責任を感じているんですよ。沢山の人が本当はエネルギーをもらえるコンテンツなのにそれを小さくしてしまっているんだ、と。沢山の人に元気を与えることはプロレスラーとしての使命だと思うし、皆の真ん中にプロレスが来るようにしなくちゃいけないなと思いますね。 水上:今までの自分のイメージとは全く違いますね。 椎木:老人ホームに行くっていう話の時、水上さんでもそんなに驚くんだって思いました。プロレスってバシバシっていうイメージが普通なんですかね。演劇もすごく難しいっていうイメージがありますけど、難しいってことは全然ない。言ってしまえばプロレスも演劇も、そのフトコロが深いところは似てますね。 川口:プロレスに興味のない人が九州プロレスを知っていたりするので、なんで知っとうと?みたいな話になったりするんですけど、プロレスファンの間だけに浸透してるんじゃないんですよね。演劇も似たようなところがあるじゃないですか。僕らも演劇を知らない人にどうやったら届くかみたいなことを模索してずっとやっている。 |
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■「元気を届ける」「福岡を誇りに」
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水上:九州プロレスは目標みたいなものを3つ掲げていると聞きましたが・・・
筑前:そうですね。色んな人に元気を届けますよっていうことですね。 水上:目的があることで、はっきり伝わっていいですよね。その辺どうですか?ガラパは。 椎木:僕ら、今回10周年にあたって「福岡を誇りに持つ」っていうテーマを決めているんです。福岡に住んでいる人達ともっと福岡を好きになっていきたいと。やっぱり演劇って、どうしても東京コンプレックスがあるんですよ。東京の方がいいんじゃないかっていう人は沢山いるし、なんで行かないの?っていう人とかも沢山いる。それに打ち勝つためには、だって福岡好きだもんとか、福岡こんなにいい街だもんとか、そう思うしかない。そういうことを、僕らの演劇を通して「福岡にもこんなに面白いもんあるじゃん」とか「ガラパを観に行ったらこんなに楽しかったね。これ福岡でしか観れないね。」っていうことが福岡の一つの誇りになってくれたらいいと10周年の目標として決めたことです。今後の目標になっていく気がしてます。 筑前さんに聞いてみたかったことがあるんです。東京コンプレックスの話をしたんですけど、筑前さんは福岡出身でメキシコに行かれて、その後東京で6年ぐらいやられて福岡に帰って来られている。これってどういう指向だったんですか? |
■関東を利用する
筑前:僕はここの街を出る時に2~3年したらこの場所に帰ってくるって決めてたんですよ。
水上:元々最初から。
筑前:上京すると同時に筑前りょう太って名前を付けたんです。僕は帰ることを決めた上で、この名前を名乗って関東を利用しようと思っていました。今、華丸大吉さんが頑張っていて、華丸大吉さんを通して「ああやっぱ福岡っていい街なんやねっ」て全国に知らしめていただけると思うんですよね。こんな風に、関東を利用して地域を興すっていう、僕にとってはそのための時間だったんですよね。
水上:なるほどね。
椎木:少なくとも僕は、新日本プロレス出て行った人が福岡にくるっていう熱さに感銘を受けました。でも、あっちでやってる方がよかった、みたいなのはないんですか?
筑前:いやー、やっぱりここ(福岡)がいいですよね。以前、東京ドームで6万人の観客の前で試合をしたんです。これは、レスラーとしてはすごく気持ちがいい。だけどそこで試合をした時に、僕はもっと一人一人とダイレクトに触れ合いたいなという思いを持ったんです。この体験が、自分が変えようとしていることに対して、後押ししてくれたんですよね。
椎木:筑前りょう太っていう人物を皆が知ってるような勢いのある時に帰ってきてますよね。
水上:勢いのあるときに勢いのあるままに帰ってきたんですね。関東を利用するっていうことを、どう思いますか?
川口:いや素晴らしいと思います。利用しないとだめですよね、地方が関東を。なんか関東がいいっていう謎のイメージがあるけど。
椎木:福岡の人って単純で、福岡の人が東京で売れたらそこで一気に知名度あがるじゃないですか。
川口:簡単(笑)
椎木:俺達の街の出身だ!みたいな。わかり易い(笑)
川口:福岡はそういう一体感がありますよね。福岡の人が頑張ったら、俺らのあいつがやってるぞ、みたいになれるってのはいいですよね。変にひねくれてないというか。
椎木:僕らが東京公演を始めたのも、東京でビッグになるっていうだけじゃなくて、東京でも評価されているということで福岡のお客様が増えるっていう事を見越してましたからね。逆輸入的な。
川口:利用させてもらう、みたいな感じで。
水上:ある意味日本のどの地域でも、評価に弱いですからね。「あれすごいらしいね」とかなったら「それは観に行かないかん」とかありますね。
椎木:入口としてはすごくいいですよね。これきっかけで観てもらってそこでどれだけ面白いことをやるかってことですけど。
■ガラパ×九州プロレス
水上:ガラパは今後10周年を踏まえて色んなことをするんでしょうけど、なにか九プロとガラパの科学反応みたいなことが起こったりしないかな。
椎木:起こったりすると面白いですよね。僕は一緒にやるのは劇場空間だけじゃなくていいと思う。もちろん、劇団として劇場で作品を作るっていうのは僕らの結集した作業なわけですけど、僕らがやれることって他にも色々あって、特に福岡の街って考えたときに例えば野外でお祭りするとか、例えば商店街でなんかするとかでもいい。いろんな場面で演劇を使えたらっていうのを最近思っています。そういうところでプロレスと演劇が融合するようなことがあったら面白いんじゃないかな。例えばお化け屋敷を演劇的に作って、そこでプロレスラーが出てくる、みたいな?わかんないですけど(笑)試合をするとかでもいいですけど、演劇が、劇場で作品を作るというだけじゃなく一緒に街を面白くするって意味でできることとかがあるんじゃないかなって思いますね。
水上:筥崎宮の放生会にガラパの小屋と九プロの小屋が並んでやってる、とか(笑)
椎木:それ面白いですね(笑)僕らも蛇女とかやったりとか(笑)怪奇蛇女(笑)なんかそんなことができたら面白いですね。演劇って見始めて入り込まないと作品の中まで行けないんですけど、プロレスって一発でわかるじゃないですか。僕らとは違う身体を持ったプロレスラー、超人が出てきて動くだけでお客さんは胸が躍りますよね。そこの説得力というかわかりやすさっていうのが演劇にはないところ。演劇はまず入口に入っていくのが難しいのでプロレスのいいところと演劇のいいところとコラボすることができたら面白いなぁと思いますね。
川口:プロレスってコメディができるのもいいなぁと思ういますね。プロレスって笑いの要素が入っていたりするじゃないですか。それは本当にエンターテイメントだなーと思うし、それはやっぱり存在ありきというか、このでっかい人が気づかない、みたいなその面白さっていうのはレスラーにしかできないと思う。
椎木:愛らしいんですよね(笑)
川口:そうそう。なんか人間というか、でっかい熊を可愛く感じるみたいな(笑)嫌味なくみてしまう。不思議だけど、あざとい俳優がいかにも笑わせることやるとうっとおしいんですけど、プロレスラーがやってることってショーとして完成して見えるから不思議なんですよね。
■九州というエリアを意識する
水上:全国からみて福岡に九州プロレスがあるってことは特殊ですか?
筑前:だと思います。はい。もうちょっとしたらそう言えるかなって感じがしますね。すごい独特なやり方はしてると思いますね。 水上:それは筑前さんという人がいたからできたことでしょう。一回目の対談でマーケットの話が出たんです。福岡という街のスケール、大きさは東京とか大阪に比べると小さいし、やっぱり意志がないとできないと思うんですけど、実際福岡を拠点に九州プロレスを始められて今、どんな感じですか? 筑前:そうですね。僕は、ここ(福岡)に住みながら大好きなここ(福岡)に住む人たちに元気を届けるっていうことがどうしてもしたかったので。それに対して前例がないとか、やった人がいないとかそんなのは全然関係ないとは思いますね。 水上:その思いがやっぱり第一ですね。 筑前:そうですね。プロレスに対する信頼が僕の中にはあって、もっともっと沢山の人に元気を届けることができるはずだっていう思いがあったんで。 椎木:最初やっぱり、苦労したんじゃないですか。 筑前:僕は椎木さんと同じくプロレス気狂いなんで(笑) 椎木:僕は演劇気狂いです(笑) 筑前:でも「九州プロレス」にしたのは九州全体のマーケットを考えてってのはありますね。ヒントになったのは「四国アイランドリーグ」。あの存在で僕は四国そのものに対して興味が湧いたんですよ。ああいう謳い方をして島全体に興味を集める手段があるんだなーと思って。じゃあ、九州プロレスでいこうって。 椎木:九州って外から見てもひとつの力を持ってる感じがしますもんね。演劇も、僕らは福岡で活動しますけど、九州全体としても、今は繋がりが強いですね。ほぼ全県の劇団を知っているし、一緒に作品を作ったことがあるくらいに九州って横の繋がりが強かったりする。 水上:情報のやりとりもかなり進んでますよね。 |
■地域に根を張る
筑前:でも福岡が一番なんでしょ?
椎木:そうですね、僕がいる所が一番です(笑)すみません、冗談です(笑)川口さんともよく話すんですけど、僕らなんで福岡でやるのかって考えた時に、もう好きだからとしか言いようがないというか、ここで産まれてここで育ったからここが好きなので。僕らも頑張ってますけど、九プロはそれで成功している。ここでしっかり根をはり始めているってところがカッコいいですよね。もう8年目くらいですかね。最近すごく九プロのことを聞くことも増えたし、僕が言うのもなんですけど、九プロが福岡のいろんな人たちに知られるようになってきているんだと思います。プロレスで食えてるプロの人達がいる状況があるっていうのはすごいかっこいいことで、僕も演劇を福岡でやるって言うからにはそうなりたい。「ホントは東京の方がいんだけどなー、でも福岡じゃ食えないしなー、でも福岡好きだからなー」、ではカッコ悪くて、「福岡でプロでやってます」ってなれて始めて説得力が出てくるって思うんですよ。だから筑前さんが福岡好きだっていうのはすごくかっこいい。 水上:そういう意味ではお互いジャンルは違えどもそれぞれの団体どうし刺激し合っている感じですね。 椎木:筑前さんのやり方に刺激を受けましたね。演劇界からもっと外に出ていこうということも、筑前さんが街の人、住んでる人に会いにいくっていう活動に刺激を受けました。 水上:さっき聞いてびっくりしましたもんね。老人ホームとか児童養護施設とか。 椎木:自分たちから出て行くっていうことが、僕は地方でやっていくなら絶対やらなきゃいけないなって思いますね。 |
■楽しませる仕掛け
筑前:ガラパさんの舞台ってものすごく細かい仕掛けがあるでしょ。
椎木:ああいうの好きなんですよ(笑) 筑前:ああいうのはすごく刺激になりますね。どんな手段を使ってでも、とにかく元気になって帰ってもらおうっていうその思いがすごく伝わりますね。 椎木:プロレスも戦うだけじゃなくて照明とか映像とか音響を使ったりしていますね。九プロはそういうところがすごくしっかりしていると思います。 水上:誰か演出家がいるんですか? 筑前:いるわけじゃないですけど、僕なら「博多にわか」とか、それぞれがそれぞれの地域を背負ってそれを伝えたいという思いが結果的にそういうふうになっていくっていう感じですかね。 川口:目線がいいですよね。僕らもそうですけど、わかんない人がいるっていうことがちゃんと前提になっていることがすごく気持ちいいなって思います。僕もそうあるべきだと思います。自分たちのフィールドだけでやっていると段々、伝わって当たり前とか思うんですけど、これってすごく危険だなって思います。そうなっちゃうとマイナーな世界になっていっちゃう、ほんとに身内しか集まらないことになっちゃうから。そうではなくて、外にどう開くのか、自分たちがやってることを知らない人たちがいるんだっていう目線がないとエンターテイメントって絶対成立させられないと思うんですよね。 椎木:初めて来る人に観てもらえるのが一番嬉しいですね。 川口:初めて来る人、むしろ演劇ってつまんないんでしょってネガティブなイメージを持ってる人のイメージを覆す方が気持ちいいので、筑前さんが今おっしゃられていたような目線はすごく共感できます。 筑前:やっぱり初めて観に来る人への目線は重きを置いている。マニアの方に対してはちょっと刺激が足らなくて申し訳ないなっていう思いはあるんですよ。だけど、みんなが楽しんでほしいという思いが大きいです。 |
■「今、一緒に生きとうね!」
椎木:安心して観れますよね。友達と一緒に観に行って、そこで知らない人と一緒に笑って、わーって盛り上がってみんなでご飯食べに行こうよ!って。それがやっぱり演劇もプロレスも魅力だなって思うんですよね。ただ観せるだけじゃなくて、人が集まってくるっていうこと自体がね。
筑前:僕も一番感じて欲しいのは、みんなで同じタイミングで声を出したりすることで、「今みんなで一緒に生きとうねっ」ていうこと、それを一番感じて欲しいですね。それこそが何よりも元気の源になる感情じゃないかな。 椎木:演劇も一緒ですよね。会場で、本当に一緒に笑うだけで超楽しいですからね。皆で繋がってる感じがすごくする。 水上:スポーツの中でもプロレスはある意味一番演劇に近いのかもしれないですね。 筑前:明らかに違いますからね、ボクシングとかとはね(笑) 椎木:観客にアピールとかしたりしますからね。いくぞー!とかって(笑) 筑前:わかりやすい展開を繰り広げて沢山の人にメッセージを届けるのがプロレスの役割なんです。 水上:今までは地方で、こんなふうに身近に繰り返しみれるような機会はなかったですよね。 椎木:老人ホームに来てくれるとか普通はないですよね。 水上:ここ(福岡)にあるから、できることではありますよね。 筑前:そうですよね。じーちゃんばーちゃんが喜んでくれると、僕たちが嬉しいですね。逆にエネルギーをもらいます。ばーちゃんたちにとってはテレビの中の存在ですからね。力道山ですから。あのプロレスラーが自分の施設に来てくれるげなって。そういう驚きっていうか喜びみたいなものを感じてもらえるのが嬉しいです。 |
■演劇も街に出る
水上:演劇はどうですか?外に出かけるイメージってどんなイメージがある?
椎木:昨年末はイルミネーション点灯式とかやりましたね。僕は演劇ってどんなものでも面白くできると思うんですよ。今この部屋を面白くしてくださいって言われるといくらでも面白いことできると思うし、バスに乗って通勤して15分座っている時間で演劇やってくださいっていわれたら、いくらでもできる。演劇ってどうにでもできる力があって、どんな場所でも面白くできるんですよって思います。具体的にはお祭りを作るのも面白いなって思うし、観光ツアーを演劇を使ってプランを立ててそこで色んなことが起こる、とか。それを楽しみながら街のことが知れる、とか。あとは博物館とか美術館とかの中に演劇があってもいいな、とかそういうイメージは沢山あります。 だけど一番面白いことができるのは絶対に劇場です。照明も音響も作家の世界観も一番表現できるのは絶対に劇場だと思っています。僕は、これは絶対に外したらダメだと思ってて、これは確実にやる。ただ、僕らはそこだけにいたら絶対にダメだと思うから演劇を使ってもっと違う分野で面白いことをするっていうイメージです。最終的にはやっぱり劇場だとは思ってます。 水上:川口君どうですか? 川口:そうですね。僕はやっぱり作家なのでどちらかというと自分の世界観をしっかり出したいっていうのがありますね。例えば、シンポジウムがあったりするじゃないですか。講演会とかを僕らにやらしてくれたらいいのにな、とか思います。伝えたい内容があって誰かが登壇して喋るっていうのがつまんないことって多々あるじゃないですか。内容を教えておいてくれたら代わりに僕らやりますよ、って。そういうのって恐らく劇場みたいな空間でやるでしょうから、僕らがやったら面白いんじゃないかな。聞くほうも退屈せず聞けるし、伝える方も伝えられる。ここに演劇は起こらないっていう場所に作品として入り込んでいくっていうのは面白いんじゃないかなと思いますね。 水上:北九州もモノレールの中を劇場空間にしていましたね。作家としてはその空間を劇場にするっていう、そういう演出があったら面白いですよね。 川口:そうですね。人が退屈している場所っていうのが狙い目だと思います。退屈だけど居なきゃいけないとか聞かなきゃいけないっていうことは世の中にすごく沢山ある。退屈している人がいる場所を見つけていけたら面白いんじゃないかと思いますね。 椎木:あとはもちろん、演劇だけじゃない分野の何かを書いたりとか。ドラマとか構成ものとかはこれから川口さんやっていくと思いますけど、こういう広がり方も、もちろんやっていきたい。東京の脚本書いたりとか、そういうことができてもいいなあという風には思っていますね。 |
■福岡に来ないと観れないモノを、来たら福岡のおもてなしを。
水上:お互いに、何か聞いておきたいことはありますか??
椎木:福岡って僕らにとってはもちろん当たり前の場所なんですけど、改めて他の地域の人から福岡何がいいの?ってきかれたら、なんて答えます?筑前さんの中に何かあったら聞かせてもらいたい。 筑前:そうですねー。まずですね、頭の上を見上げると飛行機が飛んでるっていうこれがいいですよね。僕らの道場がある場所は空港の近くで飛行機が下りるのが間近に見えるんですよ。頭のすぐ上を通るんですよね。中々この角度でみれないですよ。で、隣は新幹線が通ってるでしょ(笑) 椎木:福岡は街がきゅっとしてますよね。 筑前:きゅっとしてるんですよね。・・・んー、やっぱり…突き詰めると言葉にならないです。 椎木:福岡の人って、福岡をアピールする感じが半端ないですよね。これ美味しいやろとか(笑) 筑前:僕らも興行やって選手沢山呼ぶことがあるんですけど、そういう時は皆の昼飯を一応用意するわけですよ。で、その弁当が何かっていったら、牧のうどんのかしわ弁当(笑)誰からリクエストがあるわけじゃないですけど、僕が食べさせたいんですよね。うまかろ?って(笑) 一同:(笑) 椎木:福岡に来てくれるようになったらいいですよね。福岡から東京行くって結構あるけど、「九プロは福岡に来ないと観れない」、「ガラパは福岡じゃないと観れない」みたいなものがブランドになっていって。で、来てくれたら美味しいもの紹介します。福岡全土を上げるおもてなしをします、ってね(笑) 筑前:我々のことがきっかけでここの島(九州)にきてもらって沢山お金を落として帰ってほしいですよね(笑) 椎木:文化だけじゃなくて、観光と結びつくとか経済と結びつくってことがすごく魅力的だなって思いますね。 筑前:そういうきっかけになりたいですよね。 椎木:ソフトバンクホークスってかっこいいじゃないですか。ホークスって、人気がありますけど、あの人たちが動かしているものっていっぱいある。ああいう風になれたらかっこいいなーって思いますね。 水上:これは大きくでましたね(笑) 椎木:やばい(笑) 川口:福岡は、そういう意味では来たらいっぱいお勧めがあるよって言えるのがいいですよね。来てもらったはいいけど特に勧めるものがなにもないとセールスポイントにならないんだけど。ガラパも東京から観に来てくれる人に、水炊き食べて帰ろうとか天満宮行こうとか言ってますから。 椎木:イムズホールでガラパやってます。西鉄ホールで九州プロレスやってます。街では音楽やってます。公園では大道芸やってます、それが面白くないですか。そして、屋台も出てます(笑) |
■デートで行く場所
川口:前に、イムズで合コンやってじゃないですか。イムズコン。イムズコンとガラパで一緒にやったら面白いと思う。初めてあった人と仲良くなるって大変じゃないですか。だけど、一緒に芝居観た後にとか一緒にプロレス観た後にとかだとすごく盛り上げれると思う。
椎木:プロレスとか演劇って、デートで行くっていうイメージがあっていいですよね。
川口:そうそう、デートとかで来たらいいのにね。
椎木:デートで行ったら、絶対会話弾むと思うし。
水上:話途切れないだろうしね。
川口:デートっていう意味では映画よりいいと思いますね。
椎木:空間を共有して声出して笑って。いいですね。婚活フェスティバル(笑)ガラパをみて食事に行こうとか九プロをみて食事に行こう。そして、東京からきたら美味しいものも食べれる(笑)そういうのいいですね。
水上:街コンだね。
椎木:街コンでプロレスと演劇やるってどうですかね。
川口:すごいカップル誕生すると思うけどなぁ。
企業研修は、「演劇」で?、「プロレス」で?
椎木:九プロと今後絶対なにか絡んでいきたいですし、そうなった時に団体同士だけじゃなくて福岡を巻き込んだ形で手を合わせてできたら面白いでしょうね。ちょっと筑前さん、マジな話していいですか?ガラパは演劇企業研修っていうのを作ったんです。
筑前:えー、すごい。
椎木:そしてこれは、九プロをパクったんです。
筑前:あ(笑)
椎木:九プロはプロレス企業研修をやってるんですよね。九プロのレスラーはガラパの研修を受けてもらって、僕らは九プロの企業研修を受ける。これどうですか?これ、やりましょうよ。
筑前:うわーなんか怖そうですね(笑)
椎木:怖くない怖くない(笑)絶対面白いですよ。マスコミにも取材してもらってね。どうですか? めんたいキッドがガラパの研修受けるよ。じゃあガラパも九プロの研修受けるよ、って宣言して行く。
筑前:演劇で企業研修やってるんですね。想像つかない。
川口:インプロみたいなゲームからスタートしていって最終的にお互いちゃんと喋れるようになろうっていうのが狙いです。新人の人がコミュニケーション取れるように。「自分たちの会社の新商品を提案しよう」って設定だけ決めてみんなで提案し合う。それをエチュード(即興劇)でやる。実際に自分たちが提案してそれが商品になってお金を動かすみたいなことって中々できないじゃないですか。それをアドリブという形で世界観にいれちゃってその中で演じてみて。
椎木:新しい斬新なグッズの会議をしてもらったりね。
川口:みんなで意見を出し合って。ただそれだけだと面白くないので、うちの役者も一緒に混ざって妨害したり。それをまた皆で意見出し合って乗り切ろう。そういうことしていくうちに段々お互い殻が取れていくんですよ。
椎木:合コンとかで使われているゲームって実は演劇から発生したものが結構あるんです。コミュニケーションを取るためのゲームが沢山あって、遊びながらワイワイみんなで笑いながら、失敗したねーって笑いながらいつの間にか仲良くなっている。演劇って失敗したり自分が嫌だなと思っている事とかコンプレックスに思っているようなことが一番面白かったり武器になったりするんですよね。例えば太っている人だったら自分が太っているのはすごく嫌かもしれないけど、太ってる俳優ってすごく面白いんですよ。それだけで個性がある。そういう面白さがあるんです。まずは皆のそんな部分を発掘していって最後は合わさって色んなことになっていく。
筑前:へえー。すごいですねー。そんなことを。
水上:プロレスの企業研修っていうのはどんな感じなんですか?
筑前:僕らはその、基礎体なんです、やること自体は。色んな地味なことをやるんですけど、自分の一線を越える体験をしてもらってその越えた自信を職場に持ち帰ってもらう。
椎木:むちゃくちゃきついらしいですよ、噂によると。悲鳴を上げるらしいです。
筑前:でもほぼ、参加者の皆さんはそれを通過していってらっしゃるので、きっと皆さんは日常で自分のことを低く見積もっているんですね。だから、実は自分が思っている以上の能力を持っているっていう自信を持ち帰ってもらいたいと思っているんです。
椎木:水上さん、参加したら死にますよ(笑)すーごい筋トレするらしいですよ。
水上:背骨がボキボキなるかもね(笑)
筑前:椎木さんが言われたみたいに普通の研修と同じ部分もありますけどそれを楽しく、声を出してエネルギーを出し合って、そして声で感知し合って目標を達成していく。
椎木:声は大事ですよね。普通に生活していると声を出すこと中々ないですよね。
筑前:一人じゃできないことも他からの叱咤激励によってもう一回できたりとかを感じてもらってますね。
■最後に
水上:そろそろ時間です。最後に一言ずつありますか?
椎木:筑前さん宣伝ないですか?
筑前:そうですね。九州プロレスに人気のめんたいキッドっていうプロレスラーがいます。彼が主催する大会が西鉄ホールで行われます。6月7日の15:00。「めんたいフェスタ3」というイベントです。博多のめんたいキッドが関西のビリーケンキッドに挑みます。博多のキッドが勝つか大阪のキッドが勝つか。是非博多のキッドを応援しに、6月7日15:00西鉄ホールに足をお運びください!待っとるバイ!
水上:じゃあ、お二人からもどうぞ。
椎木:僕、小学1年生の頃からずっとプロレスに憧れ続けて、演劇の世界に入った時に近いものを感じたんです。ずっとプロレスと演劇にはシンパシーがあるって思っていたのでこうやって筑前さんとお話しすることが出来て、夢がかなった。次は、この演劇とプロレスがコラボしていくことがあっても面白いと思うし、同志として色々刺激を受けながらやっていけたらいいなって、改めて思いました。福岡にこだわってやっていきます。
川口:久しぶりに筑前さんにお会いしてやっぱり身体の存在感ってすごいと。いるだけで絵になるってほんとにすごいなーって思いましたね。うちの役者も身体鍛えないかんなって(笑)九州プロレスとうちのスタンスって似てるんだなって改めて確認した。今後も、九州プロレスから色々盗みつつ、もっともっといろんなところにアプローチしていく努力とかを怠ったらいけないなと思いました。ありがとうございました。
水上:「九州プロレスがあるから」「ガラパがあるから」福岡に来る。それが目的になってもらうのが目標ですね。今もいるでしょうけど、もっとたくさんの人にね。福岡の人たちももっと日常的に来てほしいですね。
筑前:そういう存在にならないかんですね。
水上:まだまだ8周年と10周年ですから。先はこれからですね。では最後に掛け声で終わりましょうか。
筑前:僕らの掛け声で「九州ば元気にするバイ」というのがあるのでこれを一緒に(笑)僕が「九州ば」っていうので噴火するイメージで「元気にするバイ!」でお願いします。
筑前:ガラパゴスダイナモスがこの福岡九州ばー!
椎木・川口・水上:元気にするバーイ!!!アンカー
2015.05.27
カテゴリー:ガラパ10周年リレー対談
■■僕の人格を形成したもの■■
物心つく頃 神社の境内で祭りの時にやってきたドサ回り劇団のチャンバラ芝居
■■小学生時代■■
『ゴジラ』シリーズ
■■中学生時代■■
『小さな恋のメロディ』『ゴッドファーザー』
■■高校生時代■■
『仁義なき戦い』『サンダカン八番娼館』
■■大学生時代■■
年間に観た200本の映画
『子午線の祀り』は演劇体験の原点
『ブロードウェイミュージカル ウィズ』でミュージカル初体験
映画の道に進むつもりが子どもたちに演劇や音楽を見せる仕事に歌舞伎・文楽・能・狂言・落語といった古典芸能から人形劇・バレエ・ジャズ・オーケストラまで、あらゆるジャンルの舞台芸術を子どもたちに届ける もはや演劇のない生活は考えられません
でも演劇に触れたことがない人のほうが多いのが現実 はてさて、その魅力をどう伝えようか
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