劇ナビインタビュー No8 劇団四季 代表取締役社長 吉田 智誉樹さん

ミュージカル『美女と野獣』が好評のうちに千秋楽を終えました。
福岡で3年間の“キャナルシティ劇場”の専用使用を発表した劇団四季の吉田社長にインタビュー。
浅利慶太氏からバトンを渡され、劇団四季のかじ取りをどのように進めているのか、お話を伺いました。


バトンを受け継いで

水上:浅利慶太さんからバトンを受け継いで2年目になります。浅利さんはカリスマ的なものをお持ちだったと思うのですが、引き継いだ今のお気持ちと意気込みをお聞かせください。

吉田浅利慶太先生は、歴史に何人出るかわからない偉大なカリスマです。本当に多くのことを自らで切り開き、強烈なリーダーシップで組織を率いてこられた。私は凡人ですので、当然同じようにはできません。自分としては、劇団内の各部門と議論し、その上で最善の選択をする。二年間そんな方法で社長業に取り組んできました。これからも変わらないと思っています。
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劇団四季という組織に流れる「血液」の確認

水上:浅利さんはオリジナルのミュージカルも創られていましたが、全国的な劇団四季のこれからをどのようにお考えですか?

吉田:四季は、私が引き継いだ2年前から約1,200名の大きな所帯のままで、俳優が600名、技術者が300名、営業などの経営部門に300名ほどの所属員がいます。浅利先生が退かれた後も、この巨大組織が変わらずに運営され、お客様に作品を届け続けることが一番大切です。幸い、四季には浅利先生の残された理念がある。先生の卓抜したところですが、この理念や、方法論が極めて具体的なのです。抽象的なところが一つもない。俳優、技術スタッフ、経営スタッフ、それぞれに、細かくリアルに残っています。だから、まず我々は、この教えに忠実であろうと考えました。理念を組織の「血液」とすると、全員がこれを共有しなければいけない。カリスマが直接指揮をとることはないが、そのスピリッツで組織を動かすということですね。
しかし、演劇界や日本のお客様も少しずつ変化していきます。教えや理念を尊重することは、それを盲信することと同義ではありません。当然、アジャストは必要になる。時には全く新しいチャレンジも必要でしょう。新体制の3年目以降は、この作業が中心になると考えています。
海外ミュージカルの日本版レプリカを制作することは、今でも問題なく可能です。例えば東京での『アラジン』は大ヒットしていますが、これは新体制になってから作り出したものです。問題はオリジナル作品の創作でしょうか。もちろん、すぐに実現できるとは思ってはいません。ただ浅利先生の時代にも、「昭和の歴史三部作」『ユタとふしぎな仲間たち』など数々のオリジナル作品を生み出していますから、創作を志向するエネルギーは組織の中に蓄積されているはずです。

 

創作のエネルギー

水上:作・演出はやはり劇団内に育てていくのですか?

吉田:いま、その問題を議論しているところです。先ずは劇団内から出てきてくれることを願っています。そのためには、組織の中に才能を発掘し、育てるシステムを作る必要がある。一方で演目の多様性のためには、或いは外部の力を借りた方が良い時もあるでしょう。今年も一つトライアルを行いました。それは『ウェストサイド物語』の再演です。既に四季で1400回ほど上演している定番中の定番作品で、福岡でも09年に上演しています。ただ全体のテンポ感や、今のお客様が求めている躍動感などには課題もあると感じていました。そこで『ウェストサイド物語』を作ったジェローム・ロビンスの財団が公認する演出家、振付家であるジョーイ・マクニーリーさん─07年版の振付担当でもあり、浅利先生とも一緒に仕事をして四季のことも理解している─にリメイクをお任せしてみようということになったのです。

水上:確かにミュージカルは、国内の演出家と限らずに世界中から引っ張ってこられます。

吉田:そうですね。海外作品の上演を契機に生まれた人間関係もたくさんあります。

水上:これは福岡公演も考えていらっしゃいますか?

吉田『ウェストサイド物語』新演出版は、この年末年始に福岡で上演されます。上演時間が15分くらい縮まってテンポが良くなりました。

水上:演出に伴って装置も変わったのですか?

吉田:装置は、舞台美術家の土屋茂昭さんによるニューバージョンです。

 

福岡のポジション

水上:キャナルシティ劇場をこの先3年間専用使用されます。福岡というのは全国の展開の中でどういうポジショニングですか?

吉田:九州地区の拠点ですね。交通のインフラが整い、地域のエネルギーもパワーアップし、九州における福岡のプレゼンスは非常に大きくなっている気がしています。そこに定期的に我々の作品を提供できるのは非常にありがたいですね。大切な場所だと思っています。

水上:3年ということですが、その後の継続はお考えですか?

吉田:まずは与えられた3年間、全力を尽くすことだけを考えています。3年後の社会状況、福岡演劇界全体の動向、劇団の創作能力、上演できる作品の有無などを考慮し、総合的に判断したいと思います。

 

海外戦略について

水上:ほかのプロダクションからも言われることが多いですが、福岡はアジアが近くて、上海は東京に行くよりも近い。釜山も1時間で行ける。四季では海外戦略は考えていらっしゃいますか?

IMG_9525.jpg吉田:例えば、インバウンドのお客様が我々のターゲットになるのかどうか。四季の主力ラインナップは、現状では海外の翻訳ミュージカルです。ブロードウェイやロンドンの名作を翻訳して日本で上演しているわけですが、インバウンドのお客様が求めている作品が果たしてこういうものなのか。意志さえあればロンドンやニューヨークにも行ける方々が、福岡や東京で何をご覧になりたいかをしっかりと分析しなければいけない。インバウンド専用の作品を開発する必要があるかもしれません。まず、海外のお客様が日本のショウビジネスに何を求めていらっしゃるのかを知る必要がありますね。

水上:「福岡に来ているから四季を見てもらおう」ということではない、と?

吉田:宝塚や歌舞伎、文楽などは日本にしかないので、海外の方は興味を持つかもしれませんね。我々は慎重に考えたいと思います。

水上:海外公演に行くことは?

吉田:将来的にはオリジナル作品を海外でも上演したいですね。そういう時代が来るよう努力したいと思います。



ミュージカル『リトルマーメイド』

水上:経営者としても手堅い、堅実な印象をお受けします。福岡では具体的には年末に『ウェストサイド物語』を上演されて、そのあといよいよ『リトルマーメイド』ですか?

吉田:その通りです。そして、キャナルシティ劇場での仕事を再開するにあたり、我々は、2010年に常設劇場からスキームを変更した際の出来事を忘れてはいけないと思っています。発言が二転三転し、お約束した公演も実現できず、お客様に迷惑をかけてしまった。だから今回は、先ずは与えられた3年間の中でしっかりと仕事をしたい。無理のないところからチャレンジを始め、将来を考えていきたいと思っています。また「お客様が何をお望みか」を考えた時、やはり福岡で未上演の“新作”が良いと思いました。『リトルマーメイド』は東京で上演中ですが、非常に強い動員力を持っています。

水上:福岡と東京のダブル公演ではなく、東京の舞台を福岡に持ってくるということでしょうか。

吉田:実は名古屋に新劇場を作り、そのこけら落とし公演も同じ『リトルマーメイド』なのです。今年10月にスタートしますが、福岡公演はこれと並行して開幕します。しばらく福岡、名古屋の2班体制です。

水上:それでは役者を2班作らなくちゃいけない。

吉田:2班並行上演は『美女と野獣』『ライオンキング』で体験済みなので、その困難さは十分わかっています。高度な演技力、歌唱力、ダンス力のある俳優を常時複数名シフトしなければならない。大変ですが、良い作品をいち早くお届けするためにはこの方法しかありません。

水上:それは期待が高まりますね

吉田:セットももう一つ作るので、日本初演と同様のエネルギーが必要です。

水上: 動員目標はどのくらいですか?

吉田:できるだけ長く続けたいですね。先ずは一年のロングランを目標に全力を挙げます。

水上:せめて一年は続いてほしいですね。

 

福岡エリアのポテンシャル

吉田:東京の実績を分析すると、福岡でもそれくらいのポテンシャルは十分にあるはずです。

水上:『ライオンキング』は福岡の最初の公演の動員が69万人です。

吉田:公演回数も700回ですからね。驚くべきエネルギーです。福岡の潜在的な文化力を垣間見た体験でした。

水上:他の都市に比べてこの数字はどうなんでしょう?

吉田:例えば名古屋などと比べても遜色は無いですね。

水上:そうですね、名古屋の方が人口的には福岡の倍以上はいますからね。

吉田:当時の福岡における『ライオンキング』の浸透度、プレゼンスは、名古屋以上のものがあったかもしれません。

水上:新幹線ができてから、「北九州芸術劇場に鹿児島から観に来る観客が増えた」という話もあります。九州の交通環境が変わって、九州各県の人たちが移動する距離が大きくなってきているんでしょう。

 

四季版『リトルマーメイド』

水上:実は私、『リトルマーメイド』を以前、ニューヨークで観たんです。装置はすごいのだけれども、なにか不消化に終わって、、。

吉田:私もニューヨークのオープニングナイトを観劇しました。これは、日本で上演するとなると相当なコストが必要になると感じたのが第一印象です。

水上:なるほど。

吉田:結局、ニューヨーク版は四季では上演しませんでした。その後、ディズニーの幹部から新しいバージョンがオランダで誕生するとの話を聞き、直ぐに観に行きました。実は、四季で最初にこの作品を観たのが私なのです(笑)。ロッテルダムのホテルから当時の浅利社長宛てに、「素晴らしい作品だから上演すべきだ」というリポートを送ったことを今でも覚えています。

水上:まさにブロードウェイ版もヨーロッパ版も見たわけですね。

吉田:ナンバーがいくつか追加になり、ニューヨーク版にはない重唱が使用されるなど、物語が深まっているのが特徴です。登場人物それぞれの心情を、しっかりと観客が理解できるようになっています。

水上:それをやることになったわけですね。実際、劇団四季の『リトルマーメイド』の評判はいいです。

吉田:普段は海外オリジナルの舞台をダウンサイジングして日本に持ち込むことが多いのですが、この作品では逆に、ビジュアル面を更にスケールアップさせました。ディズニーと四季のクリエイティブチームが協力して、魚の種類を増やしたり、船をスケールアップしたり、いろんなテクニックを使ってより豪華にしたのです。これが福岡に来るわけです。

水上:ヨーロッパ版とも違う四季版ということですね。

吉田:世界のプロデューサーがディズニー社に『リトルマーメイド』を観たいと問い合わせると、「日本に行って観てください。それが今の我々のスタンダードだから」と言ってくれるほどです。

水上:東京での上演は3年くらいですか?

吉田:そうですね、東京では3年以上上演し、ほぼ満席ですね。

水上:リピーターが多いんでしょうか?

吉田:リピーターのお客様もいらっしゃいますが、初めてのお客様も多いかな。一番多いのはお嬢さまのいるご家族ですね。この作品は娘をお嫁に出す話です。だから、終演時の表情を拝見していると、どのご家庭でも、一番感動しているのはお父様ではないかと思われます(笑)。

水上:それは気になりますね。(笑)アニメと同じ内容ですか?

吉田:ストーリーは同じですが、キャラクターそれぞれの「背景」が追加して描かれ、ドラマが深まっています。アリエルがなぜ陸を目指すのか、エリックがなぜ海に向かうのかという「動機」が、観客に分かりやすく伝わるようになっているのです。

水上:アニメと違って舞台になるとリアリティが大事になりますね。その他には?

吉田:もう一つ特徴を申し上げておくと、フライング技術でしょうか。全てコンピュータープログラムで、動きはプリセットされています。吊られている人はその動きを頭に入れて、ポジションにつくときにどういう演技をするのかを覚えておくわけです。これは普段と逆で、人間が機械に合わせるんですね。

水上:それは難しそうですね。

吉田:とても難しいです。しかし人間が手で綱を引くことでは不可能な、細かい動きが表現できます。「水をたゆたう人魚」を、お客様にリアルに感じていただけるわけです。

水上:その印象は覚えています。ニューヨークで観た時にも本当に水の中のような印象を受けました。
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 ⓒDisney


九州の俳優たち

水上:俳優の人たちが2班なので、たくさん必要という話でしたが、九州出身の俳優の方はいらっしゃいますか?

吉田:ボーカリストは九州出身の人たちが多いですね。そういう意味でも九州での仕事を継続し、これからもミュージカルを志す人たちが四季を目指してくれるといいなと思いますね。

水上:浅利さんがおっしゃっていましたけど、九州の人は喉が強い、だから歌がうまい人が多いと。

吉田:実際にそう感じます。俳優約600名の中で、九州・山口出身者が60名くらいいる。結構な比率ですよね。もちろん東京や大阪の出身者も多いけれど、人口対比だと九州は群を抜いて高くなります。

水上:名古屋と福岡同時ということで、福岡版には九州の俳優が中心になりますか?

吉田:東京初演のオープニングキャストの中に九州出身者が何人かいます。全体のシフトの関係もありますが、彼らが出演してくれればうれしいですね。

 

その次の作品の候補

水上:3年間のうち、最低1年間のロングランを考えてらっしゃるということは、同時並行で『リトルマーメイド』を上演しながら次のことも仕込まないといけないということですよね。

吉田:福岡シティ劇場時代は、企画の決定から上演までの期間が短かった。今回はそれだけは避けようと思います。『リトルマーメイド』を早く発表したのもそのためですし、その次の作品についてもできるだけ早く発表したいと思っています。十分準備に時間をかけて、お客様に周知徹底する機会を作って進めていきたいなと思っています。

水上:その候補は?

吉田:まだ詳しくはお知らせできませんが、新作や、しばらくやっていない作品が対象になります。例えば『オペラ座の怪人』。最後に福岡で上演したのは03年。これは十分再演可能だと考えています。『ライオンキング』も、最後に上演したのは09年。随分時間が経ちました。

水上:前の『ライオンキング』から、もう10年ぐらい経っているんですね。

吉田:再演と新作のバランスをとりながら考えたいですね。

 

人材育成

吉田:作品を供給する体制の整備が目下の最大の課題です。特に「優秀な俳優の確保」ですね。オーディションを行うと、ほぼ毎年、1000名以上の志望者がくるのですが、この人たちを鍛えて、四季の舞台に立てるようにしなければいけません。

水上:毎年1000名の応募があるんですか! その中から何人を採用するんでしょう?

吉田:採用は60名程度ですね。新しい若い才能をどんどん組織に入れて活性化し、彼らが舞台だけで生活できるようにするというのは、浅利先生が作った優れたスキームです。これが四季のエンジンですね。止まらないように常にガソリンを入れていかないといけない。劇団には、もう既に浅利先生を知らない世代もいるんですよ。

水上:すでに知らない人が団員の中にいるんですか?

吉田:俳優、技術、経営を合わせて、毎年100名弱の新人が入団します。新体制になって2年ですから、浅利先生と直接仕事をしたことがない人も徐々に増えている。そういう人たちに、最初にお話したこの組織を貫く「血液」のようなもの、劇団の理念を正確に伝えることが一番大切です。これは、先生から直接教えを受けた我々の責任だと思っている。劇団総会などの機会には、常にこのことに触れています。

水上:ミッションを繰り返し話すことは大事だと思います。

吉田:その通りですね。それだけ大事なことだと思っています。

 

制作という仕事に誇りを

水上:四季に入られたのは経営(営業)スタッフとして入られたんですか?

吉田:そうです。経営の入団試験を受けて内定をいただき、参加しました。今年で29年経ちました。来年30年です。

水上:俳優になりたいとかはなかった?
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吉田:全くないですね。とはいえ、学生時代は演劇をやっていました。初めて演劇部に入ったのは高校時代です。その時は俳優を何回かやりましたけど、もう二度とやるものかと思いました。演技力もありませんし、人前で台詞を言うことが恥ずかしくてたまりませんでした(笑)。昔から裏方の方が性に合っていたのだと思います。そして、裏方には裏方なりの喜びもあります。もちろん我々は、お客様から直接劇場で喝采を受けることはできない。私は若いスタッフに良く言います。「我々は俳優のように直接お客様から拍手をもらうことはない。しかし拍手をして下さるお客様は、我々の仕事の結果、この劇場に足を運んでくれたのだ。そこに誇りを持って、仕事に向き合いなさい」と。

水上:吉田さんの仕事への向き合い方ですね?

吉田:そうですね。不遜かもしれませんが、自分が集めたお客様からの拍手を、「後ろ向きに、最後列で聴く誇り」ですね。
 

 

演劇=観客とセットで成り立つ芸術

水上:吉田さんの信念は何でしょう?

吉田:これも浅利先生から何度も教えていただいたことです。演劇は常に同時代のお客様に劇場に来ていただかないと成り立たない芸術です。絵画、小説、音楽などは書かれた作品が残るので、同時代には酷評されても、百年後に発見されて価値が再評価される可能性はあるわけです。でも演劇にはそれは絶対にない。何故なら演劇の半分の成分は、それをご覧になるお客様だからです。観客の居ない演劇はあり得ない。だから演劇という芸術が成立するには、言葉は悪いけれども、その時代の気分や風俗に寄り添わざるを得ない。そのことを、浅利先生が敬愛していた演出家のルイ・ジュヴェ「恥ずべき崇高さ。偉大なる屈辱」と言っています。本来芸術家は自分の信念だけに忠実であるべきなのでしょうが、演劇だけはそうはいかない。時代におもねる屈辱さ─ある種のプロデュース感覚─が不可欠であり、演劇という仕事の秘密を解くカギはそこにあるという意味なんですね。私は仕事を続けながら、いつでもこの言葉には大きな「実感」を持っています。

水上:今のお話は、舞台芸術の仕事に携わっている者としてとてもよく理解できます。

吉田:だから演劇の仕事では、先ずお客様から見える舞台の「玄関」を出来るだけきれいにして、どんな方にも入りやすいようにしなければならない。芸術的な深みを求めるなら、玄関をお入りになった後、お客様と一緒に奥まで歩んでいけばいいわけです。

水上:台本がしっかりしていると、奥まで歩むことが出来ますからね。

吉田:例えば、先日福岡で千秋楽を迎えた『美女と野獣』には、「人間に戻りたい」というナンバーがあります。物に変えられてしまった人たちが人間に戻れる日を夢見ている歌ですが、幸せに生きるとはどういうことかを問いかける、一種の「幸福論」が歌詞になっている。非常に奥深いことを歌っているんですね。これを、どれだけ深い余韻、含蓄と共にお客様にお伝えできるかが、その舞台の真の実力なのだと思います。

 

街に必要な要素=劇場

水上:福岡で『キャッツ』を上演されて20年くらいになります。

吉田:90年ですから26年前ですね。私が初めて福岡に赴任したのもその時です。入団2年目の広報担当でした。人間関係も何もない中で、名簿一つ持って、演劇担当の記者の方を一人ずつ訪ね歩きました。皆さんからいろいろなことを教わった。自分の仕事のベースを作ってくれた街です。
『キャッツ』初演後も福岡での仕事に縁があり、旧福岡シティ劇場を作ってくださった福岡地所、旧福岡シティ銀行(現西日本シティ銀行)の方から、「良い街に必要な要素はいろいろある。まず一つは相撲の場所、もう一つが野球とサッカーのチームがあること、そして劇場があることだ」と聞いたことがあります。プロスポーツや相撲など、社会的なインフラと同列に演劇や劇場を考えてくださったということがすごく嬉しかった。我々も、このご支援に応えるべく一生懸命やってきたつもりです。

水上:また新たな挑戦がこれから始まるということですね。

吉田:格別の思いがありますね。

水上:今日はありがとうございました。3年を乗り越えて、さらに続いていくことを願っています。
 

※インタビューを終えて

吉田さんの口から、何度も「議論しています」というフレーズが出されました。戦略を練り、集団をまとめ、組織的に前に進む。経営者としては当たり前のことのようですが、「浅利慶太の四季」というイメージが強かった今までの劇団四季という組織を、次のステップに向ける、大きな仕事をされていることがひしひしと伝わってきました。
日本のミュージカル界に優秀な俳優を輩出してきた劇団四季の役割は大きいし、福岡でもミュージカルファンを育ててきました。今後、劇団四季がどのような舞台を創り、新たな人材を輩出していくのか、期待は高まります。
 

取材:水上徹也(株式会社シアターネットプロジェクト 代表取締役)
 

2016年10月 6日 11:42  カテゴリー: No8 劇団四季 劇ナビインタビュー | コメント(0) |

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