上方落語の実力派、桂吉弥が今年芸歴30年を迎えるのを記念して、5月から11月まで全国30か所を超える会場で独演会ツアーを開催。8月に博多座でも初めての独演会を開きます。
学生時代に落語に出会った吉弥は、1994年に桂米朝門下の桂吉朝に入門。のちの人間国宝で上方落語四天王の一人、桂米朝の下で住み込みの内弟子修業を行いました。巧さが光る芸で早くから頭角を現した吉弥は落語以外でも活躍。NHKの大河ドラマ「新選組!」(2004年)を皮切りに、2007年の朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」に落語家役で、2020年の連続テレビ小説「おちょやん」では語りと黒衣役で出演。2008年から2022年まで放送されたNHKの「バラエティー生活笑百科」では明るい笑顔で相談員をつとめました。
現在もテレビやラジオのレギュラー番組を多く持つ中、落語の勉強会を重ねながら、独演会で全国各地を行脚している吉弥。芸歴20年の時には歴史ある大劇場、大阪松竹座で独演会を開催。芸歴25年の節目には6日間連続で1日3席ずつ、計18席を演じる「吉弥十八番」を行い、連日満員御礼の大盛況で話題を呼びました。「十八番」はかつて大師匠の米朝や、米朝の弟子で「爆笑王」として一世を風靡した桂枝雀が成功させ、伝説となっている企画です。吉弥はこれまでに芸術選奨新人賞など数多くの賞も受賞。人気実力ともに誰もが認める存在となっています。
抜群の上手さで将来を嘱望されていた師匠の吉朝が2005年に、大師匠の米朝は2015年にこの世を去りましたが、「自分が師匠たちから学んだ落語会のやり方や向き合い方などを後輩たちに伝えたい」と後進への気配りも心掛ける吉弥。今年53歳となり、「体力もあるし、声も出る50代が一番いいって米朝師匠もずっと言っておられたので、頑張り時やなと思います」と気合を入れています。また六代桂文枝、桂文珍、桂南光、笑福亭鶴瓶ら走り続ける先輩の高座を目の当たりにして、「毎回高座が違うし、落語を楽しんでいる。そういう高座を見せたい」と意気込みます。
今回、博多座で吉弥が演じるのは、冥土への旅を描いた上方落語の大ネタの「地獄八景亡者戯」。これは米朝が再構成した爆笑の長編で、時事ネタやギャグがたくさん盛り込まれ、三味線や太鼓などのお囃子がふんだんに入るとても陽気な一席です。演じ手のセンスや実力が問われる噺ですが、吉弥も毎回、独特の演出で演じています。時事ネタが入るため、演じるたびに噺が違う唯一無二のおもしろさです。
東西の人気落語家が集結する日本最大の落語祭「博多天神・落語まつり」に出演している吉弥にとって博多は愛着のある街。毎年、楽しみに訪れる博多の地で、今年、吉弥はどんな「地獄八景亡者戯」を演じるのか。米朝一門の桂南光、桂そうば、そして矢野・兵動をゲストに迎え、「もう一席」にどの噺を選ぶのか。今回は記念公演ということで、珍しい「一人口上」も行われます。幅広い古典や新作に挑み、研鑽を重ねて迎えた30年。米朝、吉朝の志を継ぐ「30周年の吉弥」の生の舞台をご堪能ください。
桂吉弥 「一人口上」
桂そうば
桂吉弥
桂南光
(中入)
矢野・兵動
桂吉弥 「地獄八景亡者戯」
2024年8月3日(土)
17:00開演
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