彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd vol.1「ハムレット」福岡公演が行われます。
故・蜷川幸雄さんからシェイクスピア・シリーズのバトンを引き継いだ吉田鋼太郎さんが、
新たなシリーズの幕開けに選んだ「ハムレット」。
2024年6月15日(土)・16日(日)、北九州芸術劇場大ホールにて上演されます。
主演は舞台、映像と幅広く活躍する柿澤勇人さんです。
柿澤勇人(かきざわ はやと)
神奈川県出身。2007年に劇団四季の研究所に入所、同年デビュー。09年に退団後は舞台、映画、ドラマと幅広く活躍。
近年の主な出演作品に舞台『スルース~探偵~』『ブラッド・ブラザーズ』(吉田鋼太郎演出)『ジキル&ハイド』(山田和也演出)『スクールオブロック』(鴻上尚史演出)『オデッサ』(三谷幸喜演出)、ドラマ「真犯人フラグ」「君と世界が終わる日に season5」「不適切にもほどがある!」大河ドラマ「鎌倉殿の13人」など。
今年、第31回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。
柿澤さんに『ハムレット』の魅力をお伺いしました。
柿澤さん:
ハムレットは数百年前のデンマークの話です。
それを日本で、2024年の今、どうしてやるのか。どうしてみんながやりたがるのか。
それは時代も国も超えてメッセージやテーマが普遍的だからではないかと思います。
今の日本で、携帯やSNSで問題になることがハムレットでも問題になっています。
2言3言で表せることを台本3ページにわたって説明したりするので一見難しくとらえられがちですが、紐解いていくと突き刺さる台詞がたくさんあります。
そこが見どころだと思っています。
意気込みについて教えて下さい。
柿澤さん:
ハムレットという役は、愛していた父親が亡くなって、
父の後に王位を継承したのが叔父で、叔父と自身の母親が結婚する、というところから始まります。ハムレットは絶望からスタートするんです。
父の亡霊に「実に私は叔父に殺されたのだ」という真実を告げられ、
叔父への復讐を誓って物語が進んでいきます。
復讐を誓って叔父を殺そうとしますが、なかなか殺せない。
早く刺せば物語は終わるのに、なかなかやらない。(笑)
どうしてか、と考えたら、これは吉田鋼太郎さんの解釈なのですが、ハムレットはものすごく知性があって優しい王子だ、と。
もし彼が王になっていたのなら、世の中は絶対によくなるよね、と思える そんなハムレットを演じられたらいいなと思っています。
吉田鋼太郎さんから話を受けた時の気持ちと、
役を務める事になって取り組まれたことがあれば教えてください。
柿澤さん:
お話を頂いたのは、吉田鋼太郎さんと『スルース』という2人芝居をしていた時です。掴みあって暴れあい、という芝居でしたね。
その時、吉田鋼太郎さんに「カッキー、ハムレットいけるよ。確信した」と言っていただきました。
鋼太郎さん自身もハムレットを演じられていますし、様々なハムレットの上演にも関わられている。
俳優として、演出家として、一番ハムレットを理解している方にそう言っていただけたのは本当に嬉しかったです。
「やりましょう」と喜んで答えて、今になって後悔しています(笑) なんでやろうと言ってしまったのだろう、と。それだけ台本が重たいです。
2017年・2018年上演『アテネのタイモン』(演出・吉田鋼太郎)に出演されていますが、その時に感じた吉田さん演出の魅力をお聞かせください。
柿澤さん:
台詞だけのシェイクスピア劇に挑戦したのは『アテネのタイモン』が初めてでした。
その時、僕はある国の将軍の役で、台本3ページくらいの独白があって。
怒り狂って、叫び、のたうち回るシーンでした。
はじめは舞台上で椅子や小道具をひっくり返して演じていたのですがなかなかしっくりこず、「カッキー、やりにくそうだね。これさ、客席でやってみてよ」と言われて。
挑戦してみて、一発で仕留めたというか、はまった感じがありました。
僕では思いつかないようなことを引き出して頂いたんです。
自分では理解できない部分もたくさんあるので、ハムレットではまたたくさん導いて頂くことになると考えています。
『オデッサ』が先日福岡で公演されました。
多くのお客様が会場で『ハムレット』のポスターを見て足を止められていました。
『オデッサ』と『ハムレット』について、役の作り方などに違いがあれば教えて下さい。
柿澤さん:
『オデッサ』は台詞を稽古場でつくって壊して、トライ&エラーを繰り返して上演にたどり着きました。対して『ハムレット』は台詞をいじることはほぼないです。
小田島さんが翻訳された本が絶対なので、語尾を変えるとか、「てにをは」でさえ変えるという事はないです。ただ、本屋で売っている『ハムレット』を一字一句全部やったら、おそらく5時間ほどになってしまう。演るほうも見る方もしんどいです。(笑)どうしても伝わりにくいところはカットしてしまいます。
だから、まず台本を覚えないとなにもできない。
そして『オデッサ』はお芝居も現場でつくって変えて、その場で覚えて、の繰り返しでした。『ハムレット』は稽古までの一ヶ月で全てを覚えて、稽古では台詞がすぐに出てくるようにしなければなりません。それを経てのお芝居づくりになります。
台詞を思いとリンクした言葉として話すことができたら、ハムレットとしては成功なのかなと。
カンパニーのメンバーについて教えて下さい。
柿澤さん:
蜷川さんがシェイクスピア劇の上演を5作品残して亡くなられて、
『アテネのタイモン』は吉田鋼太郎さんが演出を務める第一弾になりました。
その時はいわゆる蜷川組と、鋼太郎さんご自身がやられている「AUN」という劇団がミックスされたカンパニーでした。育ってきた劇団が違うと表現方法、台詞の喋り方など、ぜんぜん違います。その演技バトルがとても面白かったです。
そして今回は、それとも全く違うカンパニーです。
AUN、蜷川組、どちらもほとんどいません。 映像を中心に活躍されている方、舞台にいままであまり出られていない方もいらっしゃいますし、もちろん舞台に精通されている方もいらっしゃいます。より異種格闘技というか。(笑)
舞台の魅力を教えて下さい。
柿澤さん:
舞台は三階席の一番後ろまで声を届けないといけないので、絶対的なエネルギーが必要だと思います。その瞬間瞬間に反応があるのも大きいです。
カーテンコールでは、その日の芝居に応じた客席の反応を生で感じることができます。舞台・ライブでしか味わえない臨場感があるんです。そして舞台は一回始まったらやり直せないのが怖くもあり、楽しくもあります。
ぜひ劇場で『ハムレット』をお楽しみください!
彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd vol.1『ハムレット』
2024年6月15日(土)、16日(日)
各日12:30開演
S席13,000円 A席9,000円
※未就学児入場不可
チケットは好評発売中です。
お問い合わせはインプレサリオ(092-600-9238)まで。
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