公開中の映画、「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」。
アメリカとソ連が対立していた時代、世界平和を願う男がいた。
その男は願っているだけではなくて、命を賭けて実行に移した。
彼がスパイ役として米側に手渡した情報の影響は、
その後の米ソの歴史を変えるくらい、大きかった。
勇気ある孤独の英雄、グリゴリエフ大佐。
実話に基づいているという。
命を賭けて、しまいには祖国に命を奪われる。
そこまでして、何故。
それは自由、そして平和を求めたから。
愛する息子が生きる未来は自由であってほしかった。平和であってほしかった。
息子が生きる未来は、西も東もない。
好きなだけ洋楽を楽しめる。好きな本を好きなだけ読める。
そんな当たり前のような自由が、戦争の時代には無かった。
時代は変わった。
今は、自由だ。平和だ。
一人の人間が死刑にかかるだけでも、ニュースに大きく取り上げられるようになった。
しかし―
私たちは、その時の彼らより幸せだろうか。心は豊かになっただろうか。
先日、偶然 倉本聰の「 歸國(きこく)」という戦争ドラマを見た。
戦争で命を落とした兵士たちが、今の日本を見て問う、「今の日本は幸せになったのか」。
そこには仕事が忙しくて、実の親のお見舞いにも葬式にも出れない息子が描かれていた。
私たちの世代、何かとても大切なものを、受け継ぎそこねてはいないだろうか。
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