芝居・感想
大奥第一章 クライマックス・その2

続きです…

さて、舞台に登場する豪華な衣裳だけでなく、実はロビーでの休憩中にも見事な打掛を見ることができる。

舞台「大奥」の衣裳も手掛ける山口美術織物さんの協力で、染色テキスタイル作家(と書いていいものやら…何しろ、まだ大学院を卒業したばかり!凄すぎます)の松本圭祐さんの「大奥」をテーマにした作品5点が飾ってある!!テレビ版「大奥」に感銘を受けて、着物の世界を目指したという松本さんの、想いのこもった作品たち。

うち1点は、博多座のエントランスロビーですので、入場前にお見逃しなく!

 

大奥打掛衣裳  作・松本圭祐

 

絢爛なる地獄

・櫻禍(おうか)・白蛇婉蜒(はくじゃえんえん)

・紫燦(しさん)・五節句(ごせっく)

参・幻龍(げんりゅう)・八醜蠎(やしゅうおろち)

・鱗翅(りんし)・無限籠蝶(むげんろうちょう)

・覇鼎(はてい)・麒鳳麟凰(きほうりんおう)

※解説は、そのまま引用させていただきました。

 

展示1.jpg

 

 「櫻禍・白蛇婉蜒」

裾より蛇が這い出でるように構図を配置し、「道成寺」にて用いられる蛇鱗文と桜の華をモチーフにして描いた。

清姫は恨みと裏切りによって蛇となって執拗に男を追い殺した。蛇のごとし執念をもって挑む覚悟と野心をその身に纏う打掛。

 

 

展示2.jpg

 

「紫燦・五節句」

鯉は滝を昇りて龍となるる「後漢書」の故事に由来する「登竜門」は成功に至るための乗り越えなければならない険しい関門を意味する。あらゆる困難を乗り越え龍となる鯉に自身を重ね、流れに逆らい自身の誇りと大望のために戦い抜く不屈の精神を纏う打掛。

 

 

展示3.jpg

 

 「幻龍・八醜蠎」

古事記に登場するヤマタノオロチは出雲の国の山河を司る自然神。大自然の脅威と畏怖を具現化した荒ぶる神。美しい山河が荒ぶり牙を剥く様に人の感情の表裏を重ね、人の醜さを八つの頭に擬える。綺麗事だけでは生きていけない世において美しき鬼たちが跋扈する大奥。人の忌むべき感情、醜ささえも自身の力とする打掛。

 

 

展示4.jpg

 

 「鱗翅・無限籠蝶」

大奥は絢爛な翅を纏う蝶が犇めき合う虫籠だ。蝶一羽一羽が今まで大奥で散っていった者たちの無念と憎悪の化身であり、また大奥に集まった者たちの羨望の化身として描いた。金屏風に群青という日本画の組み合せから至った配色と蝶の翅を纏うようにデザインした打掛。

 

 

展示5.jpg

 

 「覇鼎(はてい)・麒鳳麟凰(きほうりんおう)

大地を悠々と翔け地を統べる獣類の王たる「麒麟」、天地を傲岸に舞う空を統べる鳥類の王たる「鳳凰」、世を絢爛と飾る花の王たる「牡丹」をその背に纏う。清濁極め、人の限界を超えた王者の装束として作った。自らの身に絶対的な権力を纏う覇者の打掛。

 

松下さんは、福岡市庁舎に、高島福岡市長を表敬訪問も。折しも山笠の7月。

市長訪問1.jpg

 

「山笠は、飾り山の衣裳も豪華なんですが、(春日局の)衣裳も豪華で、重いでしょう?」と気遣う市長に、

「良い着物で、ふわっとしていて、見た目よりは軽いんですよ。フル装備すると重いですが」と微笑む松下さん。

「10年前にテレビで演じていた時は、まさか舞台になるとは思っていなかった。特に今回が第一章、始まりの物語なので、大奥の女性たちがどのように戦い、生き抜いてきたかを一生懸命演じています」と挨拶。サイン入りポスターを贈呈した。

市長訪問2.jpg

2013年7月24日 20:08  カテゴリー: アート・ギャラリー 芝居・情報 芝居・感想 | コメント(0) |
新春〜猩々を謡おう

1月10日…大濠の能楽堂で「新春〜能「猩々」を謡おう」という催しがありました。みんなで学び、みんなで謡い、みんなで観る、初心者のための“参加型”能。

 

まずは、「体験」。実は能だけでなく、狂言も、という嬉しいプログラム。

観世流シテ方の鷹尾維教さんの「猩々」の解説に続き、観客全員で狂言「蝸牛(かぎゅう)」の中のかたつむり、の囃子物の一節を習います。指導は狂言師の宮永優子さんです。

 太郎冠者   へ 雨も風も吹かぬに

          出ざかま打ち割ろう

          出ざかま打ち割ろう

 

 山伏     へ 出ぬ出ぬ虫虫

          出ぬ出ぬ虫虫

utai.jpg 

いただいたテキストには記号が付いておりました。それをできるだけ、声の雰囲気出して書いたら…こんな感じ?

 

 

 

 太郎冠者   へ あ〜めも、か〜ぜも、吹ぅ、かぁ、ぬぅ、にぃ

          出ぇ、ざぁ、かぁ、まぁ、打ぅ〜ち 割ろ〜う

          出ぇ、ざぁ、かぁ、まぁ、打ぅ〜ち 割ろ〜う

 

 山伏     へ 出ぇ、ぬぅ、出ぇ、ぬぅ、む、し、む、し

          出ぇ、ぬぅ、出ぇ、ぬぅ、むぅし、むしぃ〜

 

 これが童謡「でんでん虫」の本歌というのが、よくわかります。多分、昔々の子供たちはこの節で謡って、楽しんでいたのでしょうね…。

そんな風に想いを馳せるほど、参加の子供たちがすごく元気に謡ってました。こちらは後で本物のの舞台中に合わせて謡ってみることになりました。

 

と、ここまでは、なんとかクリア。でもここから一気に難しくなりました。

 

猩々(しょうじょう)のテキストは、いただいたのをできるだけ忠実に写してみましょう。

 

⟨ヨワ吟⟩

おーいーせーぬーやー。おーいーせーぬーや。

く す」ゥりの¬ォな」ァおも∩ォき∪ィくの∩ォみずーー。さかず」きもーうかみー↓いでてとも」ォにーおお」ぞーうれしきこ」のーともにーお↓おぞーうれしきーー。

 

本当は上中下と音が分かれているのですが、そこがうまく表現できず申し訳ありません。記号は工夫して入れてますが…顔文字ほどうまくはいきません…。

 

⟨ツヨ吟⟩

よーもーλォつきじー(ここは、いわゆるソロです)。

よーもーλォつきじー。よろづよーまーで」のー

たーけのーはーのさけー。くめどもつきずー。のめどもかわらぬーあーきのよのーさーかずきー。かーげ」もか∩ァたむ∩ゥくいりえにかれ」たつ。あーしもとはー。よーろよろと。え∩ェいーλィにふしたるまくらのゆめのー。さむる」とおもえばいづみーλィはーそーのま∧ま。つきせぬーやどーこそー。めーで」たーけーーれーー。

 

「床本」だとこんな感じです。

猩々120.jpg

 

こういう記号って、グレゴリウス聖歌とかにもあります。一種の暗号です。解読できると面白いですよ。

 

あぁ、こんな曲が謡えたらいいなぁ。祝儀の席で謡うってカッコイイ!(無理です)

実際に謡ってみると息継ぎができない、節がうまくとれない、遅れる、と難問続出。それでもとにかくみんなで謡い上げ、ご指導いただいた観世流シテ方の多久島法子さんの仕舞に合わせて(正確には舞の方を合わせていただいて)謡いました。

 

第二部は鑑賞。狂言「蝸牛」と能「猩々乱」双之舞 を観ます。「乱(みだれ)」が付くと複数形。双之舞は文字通り二人で舞います。能面をつけて舞うだけでも大変なのに、ふたり、です。「猩々」の双之舞は、私は初めて見ました。圧巻です。

syojo.jpg

 

大変興味深いことに、お謡が聞き取れるようになっている自分にびっくり!でした。謡ってみるもんです。子供さんたちが大きな声で謡っている姿はとてもいいですね。

“観客”と“後継者”は、どちらも時間をかけて育てなければ。

大濠能楽堂ではこのような能や狂言をよりわかりやすく、深めるためのイベントがさまざまに行なわれています。福岡でいうなら、アクロス福岡や、住吉能楽堂でも。金額もさほど高くなく楽しめます。ちょっとのぞいてみませんか?

2011年1月29日 15:59  カテゴリー: 芝居・感想 | コメント(0) |
「酒と笑いとシャルロットとうどん」見ました

すみません、去年末のことです。 「酒と笑いとシャルロットとうどん」という長いタイトルの芝居を見ました。劇団PA!ZOO!!の第30回公演。あぁなんて長い。たしかに、芝居に出てくる要素そのまま…。酒も笑いも「シャルロット」もうどんも出てきます。

 内容は、お風呂屋さんのお話。いわゆる銭湯。しかも舞台の場面は女湯の脱衣所。あいにくと色っぽいシーンはありません。そこは壁の絵を描きかえるために臨時休業中。この脱衣所で、幼馴染みの4人が集まって「女子会」…みたいな?うーん、

 こういう筋書きをあらかじめ知っておくより、前知識なしで見た方が圧等的に面白い劇団ですPA!ZOO!!って。日常の中にある「ちょっとした非日常」は突然予告もなく始まり、「おしまいです」、とは言われないまま終わります。そんな感じ。演っている間、観客は家族とか友だちとかその他もろもろの関係を想像しつつ、嵐のような状況に放り込まれる、巻き込まれる…ちょっとオーバーですが。

 人間関係は昭和テイスト。昔の人なら「そうそう、こんな人いたいた」と手を打って懐かしがるような少々(いえ、かなり)おせっかいな人々。はた迷惑だけど、どこか憎めない(本当に?)ありがたい存在…。ひとりでツッコミを入れてしまうようなので、まぁ芝居ならではの世界でよかった、というのが正確でしょうか。でも、今の若い人たちの昭和好きは、意外とこんなところかも。誰かにおせっかい、焼いてほしいのかもしれません。案外周りの人もおせっかいしたがっているのかも。

 そういう意味でほのぼのとした気分で帰れる、いいお芝居でした。ちょーっと理屈の部分の台詞がくどい感じもありますが。「もともっと口に出して言えばいいのよ」という藤子さん、いい感じでした。圧倒的なパワーでその場をさらっていくカヤ役の渡辺一心(かずみ)さん。さすがです。この劇団すごいな、と終わった後に思ったのは、ちょこっとしか出て来ない「うどん」の場面のために、本当にうどん打ちを習いに行ってしまうその前進力。毎回、いろんなところに助力を請いに行き、そのつどファンを増やしてくるという…エビで鯛方式で。パンフ中面のこがね市場マップいいです。こうやって愛される劇団ってつくられるんだと納得いたしました。

 以前の家族劇も、お掃除おばちゃんシリーズも大好きですが、この銭湯もシリーズ化…どうでしょうか?私、希望者一名、ということで。

PA!ZOO!!チラシ1.jpg 

2011年1月18日 19:02  カテゴリー: 芝居・感想 | コメント(1) |
坂本冬美&藤あや子初夢公演 見ました!

 現在、公演中の博多座初夢公演「坂本冬美・藤あや子」、観劇いたしました。

改めて、歌うまいなぁ〜(当たり前やん!というツッコミは当然ですが)。でも、お芝居「恋はいたずら」もなかなか、いいんですよ。

 シェイクスピアの「十二夜」が下敷き。そりゃ面白くないはずはない。だけどそれだけに、失敗は許されません(苦笑)この話、無茶振りが多いので破綻しそうになることもあります。博多座では特に蜷川歌舞伎で「十二夜」やってますしね…。でも、さすが、さとうしょう(脚本・演出)さん。大阪ですでに成功しているという安心感はあり、物語はきっちりと進みます。何が大変ってやはり三役早変わりをする冬美さんは素晴しい!双子の兄・瀬浪(せな)、妹の美緒、美緒が小姓に扮した篠夫(しのぶ)を演じ分けます。この名前にも遊び心満載。原作では兄はセバスチャン、妹はヴァイオラ、小姓はシザーリオ。なぁんとなぁ〜く、似てる(苦笑)。歌舞伎でもやりますね。翻案ものとか。1番はさすがに利緋阿姫(藤あや子)。オリビアです。ほとんどまんまです。可愛く凛々しい冬美さんと、艶やかでお茶目なあや子さん。さとうさんの女歌舞伎は有名ですが、この二人見てると、なんか宝塚的だなぁ、と思ったのが、なるほどとうなづけます。

坂本&藤・芝居.jpg

 おふたりもですが、周りが実はとてもいい。船長役の江原真二郎、磯辺の局の高松しげお、彦三の逢坂じゅん、利緋阿姫の伯母・佐島久乃役の山田スミ子さんといった、往年の名優、名コメディアンがしっかり脇を固めている。懐かしい顔ぶれを舞台で見れるのも嬉しかったけど、特に高松しげおさんの役は興味深い。原作にはない役柄ですが、若様(川野太郎)や篠夫の心情を理解し、代弁し、見守るという重要に役どころ。こういう温かい存在が舞台をホンワカといい感じにしてくれます。個人的には大好きな衣通真由美さんの踊りも見れて幸せでした。

 

第二部の「冬美とあや子の麗しのショータイム」は、ふたりとも気合い入ってます。

あ〜んなこと(笑)やこ〜んな衣装(爆笑)まで、観客を楽しませるということにかなり身体張ってます。ぜひぜひその目で確かめてください。とはいえ、やはり1番は歌、互いの歌を歌い合う場面とか、ある意味緊張します。やはりライバルの丁々発止も感じられます。でも、病後のあや子さんをさりげなくフォローしようと気を配る冬美さんの所作がふたりの仲の良さを感じさせます。もちろん、持ち歌、聴きどころです。圧倒的に生歌はすごい!と実感しました。

また、ふたりの着物も素晴しく、目のお正月もさせてもらいました。

坂本&藤・歌.jpg

 

すみからすみまで楽しめるザッツ・エンターテイメント。あと2週間たらず。ぜひお運びください。27日が千秋楽です。

2011年1月15日 15:34  カテゴリー: 芝居・感想 | コメント(0) |

1

カテゴリー
月別アーカイブ
最近の記事
熊くま!!プロフィール
熊くまです。

福岡在住の主に映画・演劇・音楽・美術関係のフリーライター。
旅や食、イベント関係もしばしば。
個人的に「博多」関係を応援しているので、その辺りのことなども書けたらと思っています。