映画「ラーメン侍」(10月22日公開)の記者会見とT・ジョイ博多での舞台挨拶がそれぞれ行なわれ、瀬木直貴監督、主演の渡辺大さん、山口紗弥加さんが出席されました。(1部質疑応答の重複している部分は割愛しています)
瀬木直貴監督(以下、監督):今まで監督した11作品中6本(『Watch with Me~卒業写真~』『千年火』など)が福岡が舞台。出身は三重県なんですが、自他ともに認める第2の故郷といっていいと思います。また福岡に帰ってきた、という感じです。
渡辺大(以下、渡辺):久留米は初めてでしたが楽しかった。九州の元気をもらって、またそれを映画の作品でお返しできたらと思います。
山口紗弥加(以下、山口): 出身地である福岡の名物であるラーメンにゆかりの作品に出演できて本当に嬉しいです。
大変だった久留米弁とラーメン
渡辺:本作の原作者「大砲ラーメン」の香月均さんに久留米弁もラーメンも指導してもらったんですが、どちらもなかなか難しくて。北九州弁は少しやっていたのですが全然違ってパニックでした(苦笑)。今でも「ほんなこつね」と、嘉子役の山口さんが使っていて可愛いと思った「すんましぇん」この二つは、気に入って良く使います。なんか、許してもらえる感じがするんです(笑)。
ラーメンは撮影前に新横浜ラーメン博物館の「大砲ラーメン」で一ヶ月間いち従業員として修行させてもらいました。
映画に出てくる作業は全部手伝いました。手の甲のやけどはリアルに雰囲気が出るので、撮影中に消えないか心配だったほど(笑)。
もともと家族みんな麺類好きなんですが、ここまでラーメンについて考えた事はなかった。真剣に向き合い、人生の中で大きなものになりました。
さらに愛着が湧きました。エキストラのみなさんが実際に食べているラーメンも、スタッフと連携をとりながら僕が作った分もあります。
山口:福岡出身なので方言には自信あったのですが、久留米弁は博多弁と微妙にイントネーションが違い、現場で直されたりもしました(苦笑)ちょっと悔しいかったですね。
過去と現在、ふたつの役柄
――渡辺さんは現代の光(息子)と過去の昇(父親)の2役。山口さんは同じ人物だが、18歳から53歳という年配の役に挑戦。互いに母と息子、夫婦の関係性も演じ分けが必要な難しい設定だ。
監督:本作の原作者「大砲ラーメン」の香月均氏が地元タウン誌に連載していたコラム『ラーメン今昔物語・初代熱風録』を読んで、昭和40年頃、久留米の屋台での人情話が映画になると思いました。
コラムでは香月氏のお父さんにあたる先代の事が書かれていますが、私は先代のことは直接知りませんので、自分の中でイメージを膨らまして人物像を作りました。
渡辺:光(息子)と昇(父親)のシーンが交互に出てくる2部構成のような作品なので、役の切り替えを明確にすることが大事と思いました。幸い息子のシーン、父親のシーンと日を分けて固めて撮ってもらえたので演じやすかった。父と息子は男にとって永遠のテーマ。オリジナルとは何ぞやというような、常日頃から自分の考えていることが出せたと思います。
昇のイメージは知人の九州のお父さんを参考にしました。会ったばかりなのに距離感をいっさい感じさせない方で、九州人の独特なところですね。破天荒でわやくちゃな久留米の男を具現化できて楽しかった。
山口:母親としては思い悩む、ちょっと頼りない息子・光を見守る感じで演じました。
53歳の嘉子を演じる時は歩き方や話のスピードを緩めたりちょっと腰をかがめるなどして若い嘉子との年齢差を出すようにしました。若い時の撮影時はもう思い切り演じました(笑)。
――山口さんはしっかり者の嘉子を好演。名場面はいくつもあるが、なかでも津川さん相手にタンカを切る場面は見どころだ。
山口:実はそのシーン、アドリブなんです(苦笑)。細かい台詞は台本にはなく、毎回微妙に違いました。監督は津川さんに「気持ちが動くまでは次の台詞に行かないで」とお願いされていたらしく、いつまでも津川さんが動いてくれない(苦笑)。悔しいから力いっぱいやったら、次の日は声が枯れてしまいました。
監督:カットがかかった時、津川さんが「素晴らしい!」と拍手を送られていました。本当に名演技でした。
観光地ではない久留米の魅力
監督:地域映画とかご当地映画という言い方がありますが、全国の人に広く観てもらいたい。それは
観光としての土地というよりは住んでいる人々のメンタリティの部分。「久留米」の人間のスピリッツはどこにあるか、ということです。一番の魅力は荒々しい中にもにじみ出て来る人情、人間味です。そういう久留米、福岡、九州の人間の魅力と元気を観ている人に与える作品だと思います。
「映画はその国の文化の象徴」と黒澤明監督が言われています。日本を代表する国民食ラーメンで日本を元気にしたい。
監督・渡辺・山口:この映画を観たら「ラーメン」が絶対食べたくなります!(笑)
監督は背中に「ラーメン侍」を背負って登場。いいなぁこのTシャツ。
映画「ラーメン侍」は10月22日からT・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ・キャナルシティ13、T・ジョイ久留米ほかで九州一斉公開!
©ラーメン侍製作委員会
映画「とある飛空士への追憶」(10月1日公開)のパネル展が、福岡市で開催中。3日まで。
会場は、 書斎りーぶるの「自由空間」と名づけられたスペース。
セミナーや読書会、芝居などのイベントも開催される。
ふだんはコーヒーやクッキーを楽しみつつ、ゆったりと読書ができる。
ほかではなかなかない、癒しの空間だ。
書斎りーぶる
福岡市中央区天神4—1—18サンビル1階
TEL092—713—1001 FAX092—715—3762
営業時間:午前8時~午後8時
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