あのゴダールの最新作だ。

(C)フランス映画社
原題は「フィルム・ソシアリスム」。意味は「映画の社会主義」というより、「映画による社会の捉え方」といったところか。
作品は3部構成のオムニバスだが、主張は一貫したメッセージとしてつながっている。
映像は色彩の濃い原色の画像やわざとネガを焼いたような画質があり、少々きつい。
だが、溢れてくる映像と音楽に身をまかせながらスクリーンを眺めていると、ゴダールのしたたかさが伝わってくる。

1部では、豪華客船での国際スパイが地中海に眠る財宝を狙って暗躍する。
2部は、両親と兄弟の家族という最小単位の民主主義の物語。
3部では、エジプト・パレスチナ・オデッサ・ギリシャ・ナポリ・バルセロナの世界6か所観光の旅。人類が作った虚偽の神話を問いかけ、古代ギリシャの古典的民主主義からオデッサの階段での社会主義革命まで、たどってきた社会制度を俯瞰する。
21世紀を迎えた人類は、「文明の衝突」とか「歴史の終わり」とかいっているが、実は文明の「衝突」でも「均衡」でもなく、なるようになっていくのだ。「勝手にしやがれ」である。ベルモンドが演じたミシェルが路上に投げ捨てた煙草のように、歴史はいとも簡単に消えていくものなんだ。ゴダール、81歳。いまだ恐るべし!
エイゼンシュタインの『戦艦ポチョムキン』へのオマージュを感じさせるシーンもあり、映画通のおじさん達には見ごたえのある映画。『勝手にしやがれ』を知らない世代には、80代の現役映画人のアバンギャルドな感覚を堪能してほしい。(文責・水上)
「ゴダール・ソシアリスム」

自由は高くつく!
ゴダール最後の映画?と話題騒然の2010年最新作は、3楽章の交響曲構成。
国際スパイが暗躍する地中海の豪華客船、
子供が被選挙権を主張して両親を召還する村、伝説の真偽を問われる歴史的6つの都市…
活力いっぱい、映像美も音響パワーも詩の力も、未曾有の境地に達した傑作。
コメントの投稿