演劇ユニット「ゴジゲン」を主宰する松居大悟が、人気コミックシリーズ「アフロ田中」の映画化で商業映画の監督デビュー!
松居監督に作品にかける思いを聞きました。
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Q 演劇・テレビと活躍されていましたが、映画を撮るのは初めてですね?
視覚的に世界を作れるものは映画と思っていました。実は、もともと漫画家になりたかったけど、絵が下手で挫折したんです。それで学生時代に、映画もやっている演劇サークルに入りました。とりあえず演劇をやりながら方法を探ろうと、毎年1本は自主映画を撮って、自分のやりたいことを確認していました。そういう事を続けていたら、思ったより早く映画を撮らせてもらえました。
Q 演劇と映画の違いは?
映画を撮るときは、舞台で培った空間演出を無意識に取り込んでいました。逆に、『アフロ田中』を撮り終えてから行った劇団の公演では、映画で感じたことが有機的に機能したりもしましたね。
演劇、映画、ドラマっていう風にくくらずに、その時の面白さが伝わるものを選択すればいいんじゃないかと思っています。
Q 映画の原作になった漫画について監督の思いを聞かせてください。
「アフロ田中」という漫画は僕の青春時代のバイブルでした。それを撮らせてもらえるというのが嬉しかったし、今後自分の商業映画デビュー作として記される事が誇らしいです。「高校アフロ田中」を読んでいた高校時代、「アフロ田中だ」と言われていたんですよ(笑)、「やめろよ~」とか言いながらちょっと嬉しかったですね(笑)
田中のように「もてたい」といつも思っていました。どうしようもない青春を送っていたんです。僕らには甲子園とかラブロマンスをテーマにした漫画なんてファンタジーにしか見えなかった。そんな時、「アフロ田中」はダメな青春をちゃんと書いてくれていたんですよね。
「アフロ田中」の面白さは見た目のビジュアルではなくて、鬱屈した青春を送っている田中が一生懸命頑張るんだけど、それが世間の常識から外れている。田中が1人で空回りするんですね。でも、それを面白いと思ってやっているわけではない。田中は誰も傷つけないし、迷惑をかけない。その漫画の本質を抽出していかに映像に反映させるかを意識しました。悪い人間が登場しないっていうところも含めて、この漫画の世界観がすごく好きなんです。
人にどう見られているか、どう思われたいかを気にするような繊細さは日本人にしか感じられないことじゃないかとも思います。そもそも田中はいじめられるのが嫌でアフロにする事から話が始まるんですよ。
僕は何をやってもダメで光すら当たらないような人を肯定してあげたいなという思いで作品を作っています。だからこそ、そういう人たちを“見下した”感じにしたくない。ダメな人が成長するような話が嫌いなんです。ダメな人をそのまま愛してあげたい。
Q 主演の松田翔太さんはイメージとは全然違って意外でした。はまってましたね。
最初に主演が翔太君だといわれた時は、僕も大丈夫かなと思いました。もてなかったはずがないし。でも、「自分のイメージはどうでもいいから、この作品にとって面白いことをなんでもやる」って言ってくれたから、この人をどうしてももてない奴にしてやろうと思えた。ダメな人をそのまま愛してあげたいという、そこを理解してくれたから田中の雰囲気が出ていると思うんですよね。
松田翔太君は、自分の中にも田中の一面があると言って、実際それを体現してくれました。繊細な感情表現が出来て、原作への愛があって、しかも芝居ができる翔太君じゃないとこの役はできなかったんじゃないかと思っています。
Q アフロのかつら制作は大変だったんじゃないですか?
かつら業者にお願いしたんですけど、直径50センチくらいあって、1本1本編みこんで作ってます。業者の方から「こんな大きいかつら作ったことないです」って言われました(笑)
(C)2012 のりつけ雅春・小学館/「アフロ田中」製作委員会
Q ヒロイン・佐々木希さんのエピソードがあれば教えてください。
最初は緊張したんです。モデルでバラエティにもたくさん出ている方なので「なによ!」っていう上から目線でこられたら泣いてしまうなと思って(笑)でも、最初から「私でいいんですか?」とおっしゃるような謙虚な方でした。クランクイン前のリハーサルの段階で、稽古をつけてほしいと言われてマンツーマンでやったりもしましたね。一生懸命で素敵な方だなと思います。その “すごく美人なのに、謙虚で自信がない”ところが「亜矢」のキャラクターにぴったりだったので、普段のままでいてほしいとお願いしました。
Q 他の出演者も多彩ですね。
リリー・フランキーさんとか辺見えみりさんはもともと原作の大ファンで、お誘いしたらすぐ出演していただけました。「村田」の彼女とか服屋の店員にいたるまで細かいキャスティングにもいろいろと意見を言わせてもらいました。
Q 26歳の若さで商業映画デビュー、プレッシャーは?
プレッシャーしかなかったです。演劇やテレビドラマの脚本と違って映画はいろんな方と関わるし、予算とか集客とかを考えると尋常じゃないプレッシャーで逃げ出したくもなりました。それで、プレッシャーを全部作品作りに向けました。最初にお話いただいた時に「ベテラン監督に撮ってもらうより、もてない男の感覚を同世代の人に撮ってほしい」と言われたんです。だから妥協もしなかったし、やりたいようにやろうと思ってやったんですけど、今でもちゃんと無事に公開されるかドキドキしています。全部嘘だったらどうしようって(笑)
Q どういうお客様に見てもらいたいですか?
まずは、もてない男達に共感してほしいですね。原作好きな人にもいいねって言ってもらいたい。女性には、「男の子ってこんな風に考えてるんだ」とか「このアフロ頭かわいいよね」っていわれるのは嬉しいですね。
僕は、この映画をコメディと思って作ってないんですけど、劇場で予告が流れた時にお客さんが笑顔で見てくれているのを見て嬉しかったです。たくさんの人にみてもらって笑っていただけたらいいなと思っています。
映画は、1シーンに対していろんな意味が内包されているのが好きなんです。笑ってもいいし、切なくなってもいい。いろんな角度の余地があるところが良いと思っています。
僕はチャップリンが好きで憧れの人なんですけど、チャップリンも切なくてコミカルでいろんな感情を抱きますよね。そういう映画になるといいなと思います。
これからも目が離せない松居監督の意欲作『アフロ田中』をぜひ劇場で! モテない男たちにいつしか愛着がわいてくる、ハートフルなラブコメディです。
2月18日(土)ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、TOHOシネマズ トリアス久山、他にてロードショー