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能楽師・多久島法子さん単独インタビュー
【2011年10月21日】
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cap.jpg11月26日(土)大濠公園能楽堂で独立披露能を行う能楽師・多久島法子さん。「能」は日本が世界に誇る伝統芸能であるが、女性能楽師の数は少なく、さらにプロとして活躍する人は圧倒的に少ないという。多久島さんは、その数少ないプロの女性能楽師のひとりである。
恥ずかしながら、インタビューを担当したスタッフは「能」を見たこともなければ能楽師に会うのも初めて。初心者ならではの目線で質問をぶつけてみた。

これまで『能』を観たことをない人向けに、今回の独立公演の楽しみ方を教えていただけませんか?
今回の舞台は、初心者の方から見るとちょっと難しいかもしれません。
でも、「恋重荷(こいのおもに)」という演目は、身分の高い女性と低い男性が恋に落ち、男性が恋に悩んで死んでいくのですが、それでも女性のことを忘れられ ないという話で、現代の私たちも共感できる部分はあると思います。何にも動きがない場面でも、もしかしたらこの女性はこういう風に思っているんじゃないかとか、この男性はこの女性が本当に好きなんだなとか、そういう風に思ってもらえるんじゃないでしょうか。
その点、「石橋(しゃっきょう)」は動きのダイナミックさがメインとなっているので、その爽快さを見ていただけたらと思います。前半は動きは少なく、石の橋の由来を語ります。後半は、獅子が豪華絢爛にはしゃぐというか乱舞します。本当は赤と白の両獅子が出てくるんですが、今回は特別に赤獅子だけで演じさせていただきま す。

大学卒業後修行されたそうですが、例えばお休みとかあったのですか?
ほぼ休みはなかったですね。修行時代は朝から晩まで師匠の側にいますし、お休みも年1~2日でした。なかなか友人と会う事もできませんし、結局父と食事に行ったり・・・(苦笑)。

そんな生活を7年間も・・・。
そうですね。

ハア・・・なんかすごい話。20代といったら遊びたい年頃ですよね。
まあ、夜は内緒でたまには・・・・時効ですかね・・・・?(笑)。

あはは!そうなんだ。
はい(笑)。

じゃあ今は?
仕事を入れなければお休みです(笑)。仕事を詰め込めば休みはないですし、一日に何件も掛け持ちしている人もいれば、集中的に仕事を入れてあとはお休みという人もいますし、さまざまですね。

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能楽師の普段の生活はどんなものですか?
もちろん基本は舞台なんですが、ピアノのレッスンみたいに、一般の方にお稽古をしたりするのがかなり主体にはなってきます。あとはワークショップですね、大人向け子供向けとありますが、いろんなところをまわったりしています。

正直、しんどいなと思うときもあります?
舞台ではかなり集中力を使いますので、体力的にも精神的にもそうですが、フッと力が抜けたときにどっと疲れが出ます。

そういう時のストレス解消法は?
遊びに行ったり、買い物に出かけたり。とにかくいっぱい買います。天神地下街で(笑)。

(一同大爆笑)

まさにストレス発散!
はい。あとはジムに行っているので走って汗をかいて。その時は能のことを考えずに頭を空っぽにします。

普段抑圧された生活だから、その反動ですかね。
そうかもしれません。能楽師ってお酒の強い人が多いですよ。夜な夜な中洲に繰り出している人もいますし(笑)。役者さんみたいに朝まで芸談しながら飲んでいます。

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ところで、多久島さんのように若い女性の能楽師は日本にどれくらいいらっしゃるんでしょうか?
20代、30代まででしたら4、5名ほどでしょうか。

やはり能の世界というのは女性にとっては狭き門なんでしょうか。
狭いと思います。まず修行をしないといけないので、そこで耐えられるかどうかというのと、もちろん女性も能楽師になれますが、能の世界は男社会なので幅広く 許されているわけではないですし、修行を受け入れてくださらない先生もいらっしゃいます。

厳しい世界なんだと予想はしていたんですが、よほどの覚悟がないと生きていけない世界なんですね。
そうですね。能に対する思いを強く持っていないと途中で挫折することはあります。
楽屋で何十人もいる男性のなかで女性は私ひとりだったり、野外であろうと男性と一緒に衣裳に着替えたりしますし。私は気にせずに堂々と着替えているんですけど(笑)。
そういうのが耐えられない人は難しいと思います。

多久島さんてものすごくタフな女性なんですね
そうなんですかね。じつは何も考えていないだけかもしれない(笑)。
 
 
 
※後日、大濠公園能楽堂で多久島さんを取材させていただきました。
 
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インタビューの時とは打って変わって(失礼!)その凛々しい姿にホレボレ~!
 
 

【多久島法子・プロフィール】
1981年(昭和56年)福岡市生まれ。2歳で初舞台 仕舞「老松」。
平成12年(2000)東京藝術大学入学(邦楽科能楽専攻)。在学中に「安宅賞」受賞。
平成16年(2004)大学卒業後、大槻文藏へ入門。平成22年8月、観世流準職分認定。同年9月、独立。
主な演能曲:「鵺」「殺生石」「巴」他
主な稽古場:大阪、福岡、佐賀、唐津
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