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『江戸の青空 弐~惚れた晴れたの八百八町~』G2・坂東巳之助 単独インタビュー
【2011年10月11日】

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語り手たったひとりで聴衆を唸らせ、泣かせ、笑わせ、楽しませる究極エコロジー芸能「落語」。

1260編もある古典落語の中から何本かの落語をテーマにそって選び出し、それらをオリジナルストーリーにして「演劇」した人気シリーズの第3弾『江戸の青空 弐~惚れた晴れたの八百八町~』が129日(金)~11日(日)北九州芸術劇場で上演される。

今回のテーマは“恋愛”。「おせつ徳三郎」の物語を中心に、若いカップルが様々な障壁を乗り越え、最後には恋を成就させるまでを描く新感覚ラブストーリーだ。公演に先立ち、演出家のG2さん、徳三郎を演じる歌舞伎役者・坂東巳之助さんに新作に対する思いをうかがった。

 

 

G2_t.JPGいつも“あわよくば3作作りたい”と思っています(G2


松尾貴史さんとはAGAPEstore(松尾貴史とG2の二人によるパフォーマンス・ユニット)など仕事でのコンビは長いですね。

G2

舞台では15年前、付き合いは25年、いやもっと前かな。波長が合っているのか合っていないのかよくわからないんですけど(笑)、お互いあまり干渉しないんですが仕事にしても何にしても信頼し合っている感じはしますね。

 

「地獄八景・・・浮世百景」「江戸の青空―Keep on Shackin」に続き、本作で3作目となります。

G2

僕は、なにかやるときに“あわよくば3作やりたい”と、どの作品も思っています。そのうちのほとんどが実現していないだけの話なんですけど(笑)。今回は“あわよくば”が実現したケースですね。ひとつ成功したらプロデューサーに“第2弾やりませんか?”っていうんですけど、プロデューサーは再演をやりたいというんですよ。落語はね、ライフワークにしたいと思っています。

 

「落語」をモチーフにした“現代演劇”を歌舞伎役者が演じる、なかなか面白い企画ですね。

G2

ずーっと年がら年中芝居をやっている人たちに会ってみたかったんです。巳之助さんはそこまでのサイクルまでいってないですけど、歌舞伎役者は30歳ぐらいになると休みがほとんどゼロ。朝から晩まで何かに出て、出ながら次の芝居を覚えている。30代の人たちってずーっとそれをやっているんです。そういう人たちと触れ合いたいという思いがありました。

 

 

自分の中に眠っている可能性を見てみたい(巳之助)

 

 

bandou_t.JPG初舞台が6歳、歌舞伎の世界で16年の実績を持つ坂東巳之助さん。歌舞伎以外の舞台に挑戦するのは今回が初めてです。

G2

まず、若いというところがよかった。初めてのことで大変なことがいっぱいあると思うんですけど、きっと彼は頑張るでしょうし、そういう素材だと思うからご一緒したいと思いました。

ベーシックなことは歌舞伎の世界で積んできているので、稽古場に入ったら「言ってくれれば前もって準備できたのに」って、多分思うんじゃないかな。で、僕が「ほ~らできないでしょ」って(笑)。

坂東

(苦笑い)

G2

けしてイジメじゃないですよ(笑)。ベーシックにできる子ができないという状況になるのが羨ましいんですよ。どうなるかわからないという未知数の可能性の面白さがあります。

坂東

本当にそのとおりだと思います。父(坂東三津五郎)の話になってしまうのですが、父がTVドラマや映画、歌舞伎以外の舞台など精力的にやりはじめて、「自分の中に眠っていて動かしていない細胞が動き出す感覚がすごく面白い」って言うんですね。あの領域に突入している人が言うことを僕も味わってみたいなと。

きっとG2さんが目覚めさせてくれる細胞があると思うし、自分の可能性というものを見てみたいです。とりあえず自分がもっているタンスの引き出しは全部ぶち開けられるんじゃないかな(笑)。

G2

ぶち開けられるね(笑)。

坂東

空き巣が入ったみたいな状態にしてもらえるんじゃないかと(笑)。

G2

能の世界に守破離(しゅはり)という言葉があって、師匠のいうことを破裂するまで受け入れて破裂したときに師匠から離れるタイミングであるという教えです。若い子は負けん気なのか向上心なのか、面白いくらい僕の言うことを受け入れるんです。若い人のそういうところがいいなって、最近思うんです。

坂東

(頷きながら)なるほど。

 

 

落語ほど供給源としてこんなに使いやすいものはない(G2


 

edo2.JPGお芝居を見に来られるお客様は落語を知っている方が多いのですか?

G2

確実に毎回1%くらいは落語ファンが来ていますね。他のお客様とは違うところで反応するので「ああ、落語ファンだ」と。

落語ファンの方もニンマリできるところがあるよというのも楽しみのひとつではありますけど、基本的に落語を素材にして落語を全く知らない方に提供したいです。

 

前2作を観たときに、「そういえば落語のあの話だったな」と、後になって思うところがいくつもありました。演出家としてそのあたりは狙っていたのですか?

G2

この間新作歌舞伎を演出したんですが、歌舞伎の場合、古典のままでやっていることに価値があるのでどういうスタイルでやろうかとすごく苦しみました。

反対に、落語は古典のままではダメなんです。僕らが舞台でやっているのは、落語家さんたちが試行錯誤しながら現代で通じるように作り上げた落語。供給源として こんなに使いやすいものはなくて、感謝感激、本当に申し訳ないくらい(笑)。

だから僕の舞台を観たお客様が“落語って面白いな”と思って落語を聞きに行ってくれたら嬉しいですね。落語はみんなの宝だから伝承していきたいです。

 

 


 

プロフィール】

G

劇作家・演出家。

劇団「MOTHER」の活動を経て、現在は演劇ユニット「G2プロデュース」主宰。
空間ビジュアルの美しさ、スピード感溢れる演出で魅せるエンターテインメント性に、人物の情念をていねいに描きだす確かな手腕が高い評価を受けている。
G2プロデュース公演の他に、松尾貴史とのユニット「AGAPE store」や篠井英介らとのユニット「3軒茶屋婦人会」での活動、近年では北九州芸術劇場との共同製作や新橋演舞場での時代劇、ミュージカルの翻訳・訳詞を手掛けるなど幅広く活躍中。

■坂東已之助

十代目坂東三津五郎の長男として出生。1991年歌舞伎座「八代目坂東三津五郎十七回忌追善狂言」の『隗儡師』の唐子で守田光寿を名乗りお初見画得。1995年歌舞伎座『蘭平物狂』の繁蔵と『寿靫猿』の小猿で二代目坂東已之助を襲名し初舞台。2009年にはテレビ朝日スペシャルドラマ『椿山課長の七日間』でドラマデビュー。2010年に映画『桜田門外の変』(佐藤純彌監督)で映画デビューを果たす。

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