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冨士山アネット[家族の証明∴]
【2011年3月18日】

2009年シンガポール国立劇場に招聘され初のツアー公演を行い、2010年には東京芸術劇場の「芸劇eyes」初年度ラインナップに選ばれるなど、今密かに注目を集める『冨士山アネット』。福岡はまだその舞台に出会ったことがないが、一体『冨士山アネット』とは何者なのか?主宰・作・演出・振付の長谷川寧氏に聞きました。


anet01.jpg活動を始めて何年目ですか?

2003年からですので8年目になります。大学の時、劇団を4年間主宰したあと、パフォーマンスやダンス等の身体表現に興味を持つようになり、パパ・タラフマラやミクニヤナイハラプロジェクト(Nibrollの矢内原美邦氏による演劇プロジェクト)、NODA・MAP等に出演しました。


福岡初公演ですね。

実は国内ツアーは初めてなんです。国内ツアーってどういうことなのか、今迄はイメージできなかったんです。初めてのツアーもシンガポールから始まったし、公演が東京に集中していたので。今回、福岡でワークショップもやったのですが、地域の人との交流が楽しいです。
 
「類稀な空間演出と創造的なヴィジュアル、身体性を強く意識したパフォーマンスにて創造的な空間を描き出す」(ホームページより)
 
これを読むとアートのようですね。演劇というよりダンスの印象ですが? セリフも使わないのですか? 

セリフをそいでいったら全部なくなりました。コンテンポラリーダンスに近いと言われますが、演劇がベースにあります。ダンスの人には演劇でしょと言われ、演劇人からはダンスでしょと言われ。友達増やそうと思って福岡に来たんです(笑)。
もともと演劇畑で、ダンスに勝てるものは何かと探していた所に、俳優の力に気付きました。感情を身体に込める事でダンスに届かない所へのアプローチが出来る。
それを押進めた所で、今は「ダンス的演劇(テアタータンツ)」と呼んでいます。
最初はセリフも台本もあって稽古も読み合わせから始めます。立ち稽古をやって、言葉の意味から動きに様々な解釈を持たせていきます。
このスタイルになってから選ばれた公募のフェスティバルでは、「若手」の公募という事もあり、とにかく走り続けてみた。上演時間は50分から1時間、走り続けていました。それ以上は身体が持たない(笑)。暴力的なくらい。緩急をつけるのはこの1年で覚えました。

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なるほど、「冨士山アネット」の舞台は今までに観たことがないものらしいのはわかりましたが、これまでに作った舞台は?

『SWAN』は、『白鳥の湖』の世界ですが、中国の毒ギョーザ事件をモチーフにしました。 白鳥の「群れ」と「個人」の疎外感やそこから生まれた「冤罪」みたいなもの。中国は規制が多くて、実際に向こうに行っていた時も情報を操作されているのを感じました。わかりやすいくらい隠そうとしますね。
『在処/sugar』は『ハムレット』をベースにした作品。実生活で「実家にいる限り生きていける」、と思っていたのに、甥っ子が生まれて家族の主権が移った。「あっ俺ハムレットだ。王座を奪われちゃう」って感じ。
古典を再創造する時は、現代に創る意味、今観る自分たちがどう思うか?を考えます。
 
大切なことですね。

レバノンのラビア・ムルエという作家が創った内戦を風刺した舞台を観て、ドラマにものすごい疑いを持ったんです。その影響から、ドキュメンタリーを用いていました。舞台の後ろに別の部屋を作って何台かのカメラで撮影したものを正面の3面のスクリーンに投影したり。
 
長谷川さんも含めて、今、30代の世代に面白い作家が出てきています。どう思いますか?

私は日常の細かいことをきっかけに作品を拡げて行くことがあります。演劇的カタルシスではないところから引き出してくるんです。今、本当の意味で困窮することないですよね。そこは前の世代の状況とは違う部分かもしれません。逼迫してないというか。だから、扱うものが身近なものに行く事も多いのだと思います。
日常的なものを拡げて見せる。以前と較べて大風呂敷の広げ方、たたみ方が違う。熱量の出し方を違う形で出していると思います。
 
今回の作品、『家族の証明∴』について教えてください。

自分の家庭がモチーフです。家族って、身の回りのくだらないことで声を荒げて、数分後には食事をしている、その理不尽さ。仲直りをするわけではないのに、当たり前のように食卓を囲むって不自然な関係で、不思議ですよね。
たった5人の家族の中で何が表現できるかな?って思って創りました。
『家族の証明∴』の∴は数学の証明問題で用いられる記号です。答えが出ている数学の問題を、そこからさかのぼって文章を使って文学的に答えを導き出すという理不尽さが、何か家族の在り方とリンクしたのです。
「家族を証明するための手段って何?」実はない。免許証みたいに出せないじゃないですか。答えを出さなくていい。だって家族じゃない。そこに理由はない。
本作品はセリフが無いので感情移入しやすいし、観客の一人一人が自分で吹き替えができると思います。不条理さはどこの家族にもあるので、自分に置き換えて観て貰えればと思います。
 
 
自己表現の方法論をしっかりと確立していて、それがまだたくさんの可能性を秘めて発展途上にあるような印象を与えてくれました。福岡初上陸となる今回の公演が楽しみです。
 
福岡公演/冨士山アネット[家族の証明∴]

【会場】
ぽんプラザホール(福岡市博多区祇園町8-3)

【日程】
4月28日(木)  19:30
4月29日(金・祝)14:00

【チケット】
全席自由2300円 (当日2500円)
ペアチケット4200円(当日4600円)※福岡限定

【お求めは】
メガチケット・アートリエ092-281-0103
冨士山家 080-5496-7555

fujiyamanet@gmail.com  
http://fannette.net/

【主催】 冨士山アネット
【共催】 (財)福岡市文化芸術振興財団

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